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創作小説
PROROGUE
自然に溢れ、資源に恵まれ、何より魔法に満ちた王国ーーナリシア。
人々は作物を耕し、羊を飼い、平和に暮らしていた。
しかし永遠の平和というものは、決して存在しない。
ナリシア王国もその例に漏れる事はなかった。

事の始まりは150年程昔。
突然どこからともなく悪魔達がやってきて、人を殺し始めた。
それまで明るく平穏だった人間界は打って変わって恐怖と絶望に叩き落とされた。
人々の必死の抵抗も虚しく、王国は滅亡しつつある中、国王は藁にも縋る思いで神に助けを求めた。
飲まず食わずで神殿に籠もり、国王が祈ること数十日。
ついに神に祈りが通じ、王の前に一人の魔術師が現れた。
彼は瞬く間に国から悪魔を追い出し、結界を張り、土地を人間界と魔界に分けたという。
それから長きに渡り、人間界は平和に包まれていた。
魔術師が死した後も結界は残り続け、その平和を護って来たという。

これは神話の様な史実。
御伽噺の様な真実。

しかし悪魔の被害が消え、長い月日が流れた今、人々の中で悪魔は物語の悪役のような存在へと成り下がっていた。

悪魔は人の前から消えた。

だが、そんな想いを嘲笑うかのように、今悪魔は再び姿を現した。
絶対と信じていた結界が破られたのだ。
悪魔は、かつて混乱を巻き起こした時同様に、唐突にして強引に、人間界を恐怖に陥れ、平和を乱していった。

恐怖に駆られたナリシア国王は再度神に縋り、巫女から神託を受け取った。



導き手は『龍秘める少年』
知の書庫は『魔長ける者』
世界へ響くは『異国の盗人』
耳を傾けるは『森の番人』
旅人は出逢いと別れを繰り返し
幼子は未来を切り開く



これが神からの短い手紙。
王はこの神託から、救世主を選び出した。

選ばれたのは4人の若者。
悪魔を滅ぼすための救世主。

龍秘める少年……
ヴィルブ・イレナ・ブライト

魔長ける者……
ハウラ・イウリス・リュウガ

異国の盗人……
ルナ・エルザ

森の番人……
リーク・F・アスカ

この4人の旅は、まだ始まったばかり…。



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