堕ちて混ざって笑いましょう
イライラ
確かに、母さんに小遣いアップをチラつかされて、テスト勉強でもしようかな〜とからしくないことを思ったのは俺だ。でも基礎がガタガタすぎてどうにもならなかったからリボーンに助けを求めたのも俺だ。
「さあ、小遣いアップのためだ、ねっちょり勉強やるぞ!」
そう言ったリボーンの前には1〜4の数字が割り当てられたスイッチと、それに繋がる爆薬が並んでいた。
正直この現状の意味が分からない。
一昨日、バイトが休みになったあの日を境にリボーンは俺にもわかる程イライラしていた。表情は至ってポーカーフェイスなのだが、確実に前より間違いへのお仕置きが荒々しくなっている。
「答えは……さ、3?」
リボーンは3と書かれたスイッチを押し込む。
「はずれ」
「んぎゃあぁあ!」
爆薬から爆発が起き、衝撃と共に辺りが煙に包まれる。爆発に巻き込まれてもこうして生きていることを考えると、威力は小さいのだろうが……痛いは痛い。
「どこに答えを間違える度に爆発を起こす家庭教師がいるんだよ!」
吹き飛んだ机を戻しながら涙目で文句を言うも、「ここにいるぞ」と一蹴される。
「これが俺のやり方だ。んじゃ今のおさらいするぞ」
そう言ってニヒルに笑うリボーンの顔はどこか清々しく、確実に俺をいじめることでストレス発散しようとしているのがわかる。しかし勉強を教えてほしいと言ってしまった手前、逃げ出すことはできなかった。
(くっそー!今日バイトがあればそれを理由に逃げられたのに!)
逃げてもリボーンのイライラが解消されない限り、この理不尽な暴力は終わらないのだが……あまりこれが続くようだと、小遣い上がる前に俺が昇天すると思う。間違いなく。
「考え事しながら、俺の解説が聞こえるのか?」
リボーンの言葉と向けられた銃口に、慌ててノートを取る体勢に入った。なんだかんだリボーンの解説は分かりやすい。ここで聞き逃してしまってらなんのために痛い思いをしたのか分からない。
「この問題を解くのにポイントとなるのは……」
リボーンの解説を聞きながら、重要なところをメモする。
不意に、窓の外から子供の笑い声が聞こえてきた。
(ここら辺って子供住んでたっけ?……っと、集中集中!)
こういうものにすぐに気をとられてしまうのは、俺の悪いところだと思う。頭からすぐに振り払って勉強に集中しようとする。
「ぎゃははは!」
笑い声とか気にしない。集中集中!
「ちね、リボーン!」
ここのA点とB点との距離が4だから…………え?
舌っ足らずな言葉の中に、聞き覚えのありすぎる固有名詞に思わず窓の外を振り返る。
振り返った先……窓のそばの木の上には、牛柄のタイツを身に纏い、頭に牛の角の飾りをつけ、手に黒い銃を構えるアフロの子供がいた。
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