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堕ちて混ざって笑いましょう
襲撃

夜、セナとツナの二人がそれぞれ風呂に入った後、ツナの傷の手当てをすることがセナの日課となっていた。

今日もいつものようにセナはツナの傷の手当てを始めた。

手当てと言っても素人のセナにできるのは薬を塗って包帯を巻くことだけ。さりげなくツナに医者に見てもらうことを勧めてみるものの、最初の時と同じで申し訳なさそうに「医者には行けない」と首を振られるだけだった。三回ほどそのやり取りを繰り返し、やがてセナは医者にいくことを勧めなくなった。

セナの素人仕事な手当てでも、ツナの傷は以前に比べだいぶ癒えてきていた。鬱血の色は薄くなり、膿んでいた傷は今はしっかりと瘡蓋が張っていて、このまま数日もすれば問題なく治ると思われる。それでも未だに身体のあちこちには痛々しい火傷や切り傷、痣が残っていた。

傷の手当てをするとき、セナは痛みについて聞くだけで基本何も話さなかった。ツナも何も言わないため、二人の間には静かな時間だけが流れていく。しかしその静けさは居心地の悪いものではなかった。

「終わったよ」

セナがそう声をかけ、救急箱の蓋を閉じる。ツナはお礼を言うとパジャマを着た。

いつもならばそのまま二人で布団を引き、早めの就寝を迎える。

しかしその日は違っていた。

二人が布団を引こうと準備していると、突然部屋の窓が開いた。

「Ya-haaaaaaaaaaa!!」

雄叫びと共に入ってきたのは、マシンガンを担いだヒル魔妖一だった。

「ええええええええ!?」

「ひ、ひひヒル魔さん!?」

あまりの出来事にツナとセナは二人で驚愕の声をあげる。そんな二人の様子に「息ぴったりだな」とヒル魔は笑う。

「よぉ、元気してっか?糞ガキ」

慌ててツナはその場でお辞儀をする。

「お、おかげさまで……」

ツナの返事にヒル魔はニイッと口角を上げる。その表情は悪魔さながらである。

「なら問題ねえな。明日の練習、てめぇも来い!」

それだけ言うとヒル魔は、ツナやセナが何かを言う暇も与えずに、窓枠にワイヤーを引っ掻けて華麗に窓から飛び降りた。

嵐のように現れ、瞬く間に去っていったヒル魔に、二人は呆然とする。

しかし開いた窓から入り込む冷たい風が、二人の意識を現実に呼び戻した。

「今の……何だったんですか」

あっという間のこと過ぎて、悪夢でも見ていたのではないかという気にさせられる。

「斬新なお見舞い……かなあ……」

ハハハ、と困ったように笑い声を上げるセナに、ツナはセナの今までの苦労を知った。しかし、そこは泥門デビルバッツ。セナはすぐに立ち直るとツナの方を浮いて安心させるように笑った。

「ヒル魔さんは滅茶苦茶だけど悪い人じゃないから、多分大丈夫だよ。綱吉君も気分転換くらいののつもりでおいでよ」

そんなセナの言葉にツナは肩の力を抜き、頷いた。

「じゃあ、明日に備えて寝よっか」

セナはそう言って立ち上がると、途中になっていた就寝の準備を再開した。


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