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堕ちて混ざって笑いましょう
黒曜ランド

骸の隠れ家である黒曜ランドに着いた山本と獄寺は、早速骸がよくくつろいでいるボーリング場へと足を踏み入れた。所々壊れたボーリング場は薄暗く、埃臭い。壊れた窓から日は差しているが、それは不気味な雰囲気を助長するだけであった。

ボーリング場の中央には場にそぐわぬソファーが鎮座しているが、そこにここの主はいない。

「相変わらず趣味のワリィ場所だぜ」

思わず獄寺は眉間のシワを深くしながら呟く。

「その趣味の悪い場所にわざわざ訪れるなんて、一体どんな風の吹き回しですか?」

背後から突然声をかけられる。反射で振り返ればそこには、不敵な顔で笑う六道骸の姿があった。骸とは対照的に、獄寺は鋭く睨み付ける。

「ちょっと話があってきたんだわ」

いつも笑顔の山本もまた、鋭い目付きで骸を射る。そんな二人の視線に、骸はますます愉しそうに目を細めると、二人の言葉を待った。

「先月の初め、ボンゴレと同盟を組んでいるテールファミリーの後継者が並盛中に転校してきた」

そう獄寺が切り出すと、骸は「あぁ」と頷いた。

「確か『アリサ・テール』でしたか?クロームが報告してきましたから知ってますよ」

クロームは守護者として一度アリサと会っている。骸の言葉に頷いた山本は、言葉を繋げた。

「じゃあ沢田がアリサに対して陰湿ないやがらせをしていたのは知っているか?」

山本の問いに骸は一瞬意外そうな表情を浮かべる。しかしすぐに元の不敵な笑みを浮かべると、「知ってますよ」と答えた。

「回りくどいですね、一体何が聞きたいんですか?単刀直入に言って下さった方が助かります」

こちらも暇ではないので、と言って骸はわざとらしく首を振る。その挑発的な態度に獄寺はイラつきながら、本題を切り出した。

「沢田がけじめをつけないまま逃亡した。手引きしたのは、お前か?」

獄寺の問いに骸はクフフ、と独特の笑みを溢した。

「……なるほど、ボンゴレはよっぽど堕ちたと見える」

その言葉にとうとう切れた獄寺は骸に掴みかかった。

「てめぇどういう意味だそりゃ!?」

しかし余裕を崩さない骸は「言葉通りですよ」と答える。

次の瞬間、獄寺の手から掴んでいた筈の骸の服が消えた。否、服だけではなく骸自身も姿が消えている。

骸の得意の幻術だった。

「あなた方には幻術と現実の区別がついてない。実に滑稽ですね。そして愚かだ」

声と共に空気が揺らめき、骸が現れる。骸はクフフと笑みを漏らしながら数歩二人に近寄った。

「沢田綱吉の逃亡を手引きしたのは僕ではありませんよ」

骸の言葉に獄寺と山本は驚きに目を見開く。しかしすぐに我に返った獄寺は噛みつくように言い放った。

「そんな言葉、信じられっか」

その獄寺の様子に骸はやれやれと肩をすくめる。

「別に信じようと信じまいと構いませんよ。何ならここを調べてみますか?」

そう言って部屋を差す骸に獄寺と山本は目を合わせる。

「じゃあお言葉に甘えて、そーさせてもらうわ」

山本はそう言うと奥のフロアへと向かって行った。獄寺も、山本と逆側のフロアへと歩いていく。

一人ボーリング場に残された骸は愉しそうに口元を歪める。

「なかなか面白そうなことになりましたね」

一人そう呟いて、骸はソファーへと体を沈めた。


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あきゅろす。
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