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堕ちて混ざって笑いましょう
行方不明

「最近沢田見ねぇな」

教室の自分の席でダルそうに携帯をいじっていた獄寺は、山本の言葉に眉間にシワを寄せた。

「……確かに来てねぇな」

言いながら獄寺はツナの席のあった場所に目をやる。そこはすでに机が取り払われており、後ろの席が一つずつ詰められていた。

「……ちょうど一週間位か」

獄寺は記憶をたどり、休み始めた時期を思い出す。山本は獄寺の前の席に座りながら頷いた。

「アリサはアイツの事怖がってたし、最初はそれでも良っかって思ってたんだけどよ。……でも、やっぱなぁなぁなのは良くないと思うんだよな」

二人の知る限り、ツナは一度もアリサに謝ってはいなかった。獄寺は携帯を閉じ、顔をあげる。

「今日の放課後、アイツんち行くぞ。一度ちゃんと謝罪させる。……逃げるなんて、許さねぇ」

獄寺の言葉に山本は頷いた。



放課後、獄寺と山本はツナの家に向かった。

チャイムを鳴らすと中からは奈々ではなくビアンキが出てきた。思わぬ奇襲に獄寺は腹を押さえるが、何とか昏倒することは防いだ。

「……沢田に会いに来た。上がって良いか?」

目を合わせないようにしながら獄寺は尋ねる。すると、ビアンキは困ったように眉をハの字にして首を振った。


「ツナなら……家にはいないわ」


獄寺と山本は思わず顔を見合わせる。ビアンキはドアを大きく開けると二人を中まで招き入れた。

「ママンは子供達と買い物に行ってていないわ」

そう言うとビアンキは二人をリビングのテーブルに案内した。テーブルに麦茶を出し、ゴーグルを付けたビアンキが二人の前の椅子に座る。

「ツナは……一週間位前から家出してるのよ」

ビアンキの言葉に獄寺は眉間にシワを寄せ、山本は目を見開いた。

「ちょうど学校を休み始めたときからだな」

獄寺の言葉に山本も頷く。ビアンキは溜め息をつきながら言葉を続けた。

「最近はツナは家にいても部屋に籠ってることが多かったし、出ていったなんて気付かなかったわ。ショックだろうから、ママンと子供達には『リボーンの勉強合宿』ってことで誤魔化してる……でもそれも、いつまで持つか分からないわ」

そう言うビアンキに、山本は表情を歪めた。

「沢田のやつ、どこまで周りに迷惑かければ気が済むんだよ……」

苛立ちを表すかのように、テーブルの上で握られた山本の拳に力が入る。獄寺は強く舌打ちをすると椅子から腰をあげた。

「さっさと連れ戻して今度こそケジメつけさせてやる」

そう言って今にも探しに行こうとする獄寺をビアンキは慌てて止める。

「もちろん私達もツナの家出に気付いてから、連れ戻すために色々探したんだけど……妙なのよ!」

何故かリボーンの情報網に引っ掛からないの!

そう続いたビアンキの言葉に、獄寺は顔をあげた。

「リボーンさんの情報網に……?」

おうむ返しのように聞き返す獄寺に、ビアンキは頷く。

「リボーンのネットワークは世界最高峰よ」

リボーンの情報網でも見つからない、というのはおかしい。ツナにリボーンすら撹乱する情報操作能力があったとは考え辛い。

獄寺は少し考えるように目を細めると、学用鞄を掴み、玄関へと歩き出した。突然の獄寺の行動に驚いたビアンキは獄寺の名前呼びながら後を追いかける。山本も自分の鞄を掴み、慌ててその後ろを追った。

「どこに行くの隼人!?」

玄関で自分の靴に足を引っ掻ける獄寺にビアンキが尋ねる。

「沢田の協力者ん所だ」

獄寺は短く答えると玄関のドアをあけ、山本の方を向いた。

「何つっ立ってんだ野球馬鹿?行くぞ」

獄寺に呼ばれた山本は靴に足をかけながら首をかしげる。

「なあ獄寺、協力者に心当たりでもあるのかよ?」

山本の言葉に獄寺は眉間に寄せたシワを深くした。

「ちったあ頭使え野球馬鹿。リボーンさんの情報網を掻い潜って沢田に協力するやつなんて、一人しかいねえ。少し考えりゃ分かることだろ」

そう言われ、山本は頭を捻る。しかしなかなか答えを見出ださない山本に苛ついた獄寺は、吐き出すように悪態をついた。


「てめえの頭にはおがくずでも詰まってんのか!?アイツだアイツ!六道骸!」



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