堕ちて混ざって笑いましょう
また今度
しばらく雑談をしているうちに、外はすっかり暗くなっていた。
「そろそろ失礼するね」
そう言ってまもり達は立ち上がる。ツナも見送ろうと足に力を入れたが、立ち上がる前にムサシに止められた。
「見送りは良いから休んでろ」
そう言ってムサシは軽くツナの頭を押さえる。その好意にツナは素直に頷いた。
「じゃあね、綱吉君」
「ちゃんと寝ろよ」
「またな」
まもり達はそう言って部屋から出ていく。ツナは三人に手を振りながらそれを見送った。
「今日はありがとう」
セナは玄関で三人に言う。十文字は下を向き、後ろ首を掻いた。
「まぁ一応『世話係』だからな」
十文字の言葉にまもりも頷きながら笑う。
「綱吉君、昨日より少し元気になってて良かった」
それはセナも感じていたことだったので、「そうだね」と頷く。そこでセナは何も言わないままツナのいる二階の部屋を見上げるムサシに気付いた。
「ムサシさん?」
どうしました?と尋ねるセナをムサシは視線を下ろして見いやり、口を開いた。
「何があったか知らないが、よく見ててやれよ」
そう言って、先程ツナにやったようにムサシはセナの頭に軽く手を置く。
そのムサシの言葉にどこか真剣さを感じたセナは、真っ直ぐにムサシを見返しながら「はい」と応えた。
見送りを終えたセナは部屋に戻る。最初に目に飛び込んできたのは、座ったまま背を丸め、クッションに頭を埋めるというとんでもない体勢でうたた寝するツナの姿だった。
おそらく、出会ったばかりの人しかいない環境で、気疲れしたのだろう。普通昨日知り合ったばかりの人間を自分の部屋に泊めているセナの方も気疲れしていておかしくないのだが、何故だかセナはツナにさほど緊張することはなかった。
苦しそうな体勢で微動だにしないまま眠っているツナに、セナは少し笑いながらツナの体を転がし、毛布をかける。
その動きに、ツナは小さく言葉にならない声をあげ、ぼんやりと目を開けた。
「……あ……すいま、せ……」
目をぐしぐしと擦りながら謝るツナに、セナは首を振った。
「疲れたんだね。夕飯までまだ時間があるから少し寝ておきなよ」
ツナはぼんやりと頷くと、再び眠りに堕ちていく。
セナは部屋の電気を落とすと、リビングへと降りていった。
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