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堕ちて混ざって笑いましょう


久々の国外任務はとても簡単なもので、木の葉を出たその三日後には全てカタがついていた。その三日間もほとんどが移動で占められ、面倒臭がりな自分はともかく、血の気溢れるアンコ先輩は少しもの足りなさそうな顔をしていた。

ユメウツツ

「せっかく私が小隊長だってのに、こんな簡単な任務なんて!」

帰りに寄った団子屋で、みたらしを頬張りながらアンコ先輩はブツブツと言う。そんな不機嫌丸出しなアンコ先輩を、イズモ先輩とコテツ先輩がなだめていた。

「まぁまぁ、良いじゃないですか」
「それだけ平和ってことですよ」

そう言って機嫌をとるかのように自分の団子を勧める二人の慣れた様子に、俺は何となく三人の力関係的なものを感じる。

そうして団子屋で休憩を取った後は、ひたすら木の葉に向かって進み続けた。



団子屋を出てまたしばらく走る。夕方になる頃には木の葉の北西の岩山に出ており、このまま順調なら明日の昼には木の葉に戻れそうだった。

「少し早いけど、今日はこの辺で野宿するわよ」

静止の合図に足を止めるとアンコはそう言って荷物を下ろす。

夜が本番の忍にとって日のある内に休憩を取ることはよくあることで、特に異論もなかった俺も適当に寝心地の良さそうな場所を探して腰を下ろした。

念のため火は焚かず、俺達はそれぞれ味気ない携帯食料をかじる。そして全員の見張りの担当時刻と、出発時刻を確認すると、最初の見張りのコテツを残して俺達は眠りに入った。



暖かな日の温もりを感じて目を開く。岩に寝ていたはずの俺は、気付けば草の茂る木陰に寝転がっていた。遠くから子ども特有の高い声が重なり重なり聞こえてくる。

「……この夢か」

思わず言葉をこぼす。いつもは大体『昼寝をしたとき』にこの夢を見ていたため、一瞬気付けなかった。

(まぁ日のある内に寝たし、昼寝とそう変わんねーか……)

所詮夢は夢で、いつ特定の夢を見るかなんて俺に分かるわけもないから、大して気にせず立ち上がる。

遠くから笑い声が聞こえてきたため、何となく気まぐれにそちらを目指して歩き出した。



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あきゅろす。
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