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堕ちて混ざって笑いましょう
疑問と困惑と絶対の信頼

「お前ら……一体……」

黒の装束の男は困惑の表情を浮かべる。ツナもまた同様の表情を浮かべ、男―――一護を見返した。

突然現れた男を冷静に観察していた獄寺は、一護の背負う大刀に気付き深く眉間にシワを寄せる。そしていつでも武器を出せるよう構えた。

「てめぇ、新手か……?」

警戒心を剥き出して獄寺は低く尋ねる。山本は素早く片手で少女を背後に庇う。

そんな二人の態度に自分が警戒されていることを知った一護は慌てて声をあげた。

「お、おい待てよ!俺は別にお前らと戦うつもりはねぇよ!」

そんな一護の言葉を獄寺は「そんなもん信用できるか!」と撥ね付ける。

ここが己の見知らぬ異世界である上に、先ほどの化物の事もあり二人は気が立っていた。

しかし、獄寺と山本の二人が一護に警戒する中ツナだけは何も構えようとしなかった。

(あの人……姿格好はともかく……ホントに困ってるだけに見えるけど……)

そんなツナの考えとは裏腹に、獄寺と山本の二人は一護が少しでも動こうものならすぐに武器を展開しそうな雰囲気を醸し出している。そんな二人を見て、ツナは小さく口を開いた。

「二人とも……多分その人嘘ついてない、と思う、ん、だけど……」

ツナは自信なさげに言葉を切らしながら二人に言葉をかける。

ツナの言葉に獄寺と山本は振り返ると、一瞬何を言われたのか分からない、というような表情をした。

その瞬間空気が固まり、ツナは青ざめる。

「いや、言っても勘なんだけど……なんかホントにただ困ってるみたいだから、敵じゃないんじゃないかなぁ……みたいな……」

先ほどの戦闘時とは違い、自信なさげな気弱な口調でツナは言葉を続ける。

そんなツナを見て、我に返った山本は笑った。

「ツナが言うならそうなのな!」

ニカリと明るくそう言うと山本は指輪から意識を外し、ツナの肩に手を置いた。山本の笑顔に、ツナは安堵した表情を浮かべた。

そこで我に返った獄寺も、指輪から意識を外して山本を睨む。

「いちいち10代目に馴れ馴れしいんだよテメェは!!」

そんな獄寺を意にも介さずに山本はただ笑う。あたりに並盛での三人と同じ雰囲気が広がった。

一方、突然変わった雰囲気に一護は拍子抜けしたような戸惑うような表情を浮かべた。

「……もう良いのかよ?」

疑われたいわけではないのだが、思わずそう尋ねてしまう。
すると獄寺が眉間にシワを寄せたまま一護を振り返った。

「10代目が良いと仰られたんだから良いんだよ」

その獄寺の言葉に、一護はこの二人が『10代目』と呼ばれた少年に絶対の信頼を置いていることを知る。

そこでやっと一護は肩から力を抜いた。

一護の存在を一瞬忘れかけていたツナと山本は、二人のやり取りに慌てて一護を振り返った。

「えっと、色々すみませんでした」

実際ツナは何もしていないのだが、その性格ゆえか謝罪の言葉が口から出る。山本もツナに続いて「いやぁ俺らちょっと動揺してたみたいっす」と頭を掻きながら謝った。

「いや……それは良いんだけどよ……お前ら、何もんなんだ?」

誤解が解けたことはありがたいが、一護の方にはまだ色々と疑問が残っていた。自分の姿が見えることや、虚を倒していた力量を考えるとかなりの霊能者なのだろうが、何故だか三人から普通の人間以上の霊圧を感じない。

「……って言うかまずお前ら人間だよな?」

今までに死神や破面など人間に似た別物を五万と見てきた一護は、思わずそんな問いを投げ掛けてしまった。



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