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堕ちて混ざって笑いましょう
散歩

全力疾走命からがら逃げ延びたツナは、息を切らしながら自宅に帰ってきた。玄関に入るとツナはあえぐように空気を肺に取り入れる。ある程度落ち着いてきたところで靴を脱いで家に上がった。

「ただいま、母さん」

キッチンの方に呼び掛けると「おかえりなさい」と帰ってくる。

「今日も大変だったみたいね」

奈々はキッチンから顔だけ出してツナを見ると、眉をハの字にして笑う。

ツナはそれに同じ顔で返すと、シャツのボタンを外しながら洗面所に入る。念のため洗面所に置いている塩で軽く手を清めてから手荒いうがいをした。

二階の部屋に上がると、部屋ではリボーンが銃の手入れをしていた。

「今日は随分早かったんだな」

リボーンはカレンダーを見上げる。カレンダーには、今日の日付の場所に『バイト』と記されていた。

「今日は急に休みになったんだよ」

そう言えばカレンダーに訂正を入れるの忘れてたな……と思いながら床に鞄を放り出し、ベッドにダイブする。ベッドのスプリングがギシリと鳴った。

そんなツナの様子にリボーンは探るようにツナを見るが、何も言わずにどこからともなくプリントを取り出した。

「バイトがなくて暇だよな!ってことで死ぬ気でこれを解きやがれ!!」

ニッと笑って差し出されたプリントの量にツナは思わず顔をしかめた。リボーンはそんなツナを笑いながら部屋のドアに手をかける。

「どこか出掛けるのか?」

そんなリボーンに気付いたツナがプリントから顔を上げて尋ねる。

「ちょっと散歩だ。帰ってくるまでには終わらせるんだゾ」

そう言うとリボーンはそのまま出ていった。



リボーンは奈々に一言声をかけて家を出ると、そのまままっすぐにツナの通学路を歩く。その表情はポーカーフェイスに隠されてはいるが、どこか真剣さを感じさせた。

不意にリボーンは立ち止まる。そこは以前ツナと山本を部下にするか否かを言い争った場所―――並盛商店街だった。商店街は今も部活帰りの並盛生徒で賑わっている。

リボーンは再び歩みを進める。しかしその足は中学校への通学路から逸れ、あの日にツナが逃げるように走っていった方へと向かった。



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あきゅろす。
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