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堕ちて混ざって笑いましょう
橙と橙と黒の装束

『X BURNER発射シークエンスヲ開始シマス。ライトバーナー柔ノ炎15万FVデ固定』

ヘッドホンから聞こえてくる指示に従い、ツナは左腕の炎圧を上げる。同時に右腕の炎を剛の炎へ変換しながらグローブのクリスタルに充填していく。

ツナの雰囲気に危険を感じ取った化物は、山本に突進して正面突破を試みた。しかし山本は軽くあしらうように化物の力を流す。そして刀の峰で化物を吹き飛ばし、ツナの正面に転がした。ツナは転がってきた化物に標準を合わせる。

『ライトバーナー炎圧上昇。20万FV!!レフトバーナー炎圧上昇…19万…20万FV!!ゲージシンメトリー!!発射スタンバイ!!』

腕をなくし立つこともままならない化物は、逃げられないと悟ったのかツナの方を振り返ると大きく口を開けた。口には今までで一番大きく赤の光が収束していく。

しかし構わずツナは腕を構え続けた。


『あ゛ぁああああ゛あ!!』

「X BURNER!!」


ツナは化物が光を放つのと同時にXバーナーを発射させた。


轟音と共に辺りが爆風に包まれる。獄寺は素早く少女を引き寄せると、自身と山本の正面に風から守るようにSISTEMA C.A.I.の盾を張った。

風に巻き上げられ、砂が視界を覆い隠す。

獄寺と山本の二人は、化物のいた方向に武器を構えたまま動こうとしなかった。

やがて風が止み、徐々に土煙が晴れていく。

二人の視線の先には、ツナだけが立っていた。

「やったな、ツナ!」

真っ先に状況を理解した山本がツナにニカリと笑いかける。ツナは額から炎を消すとホッとしたように息を吐いた。

獄寺と山本もそれぞれ武器を仕舞う。ツナと山本は少女のいる獄寺のもとへ駆け寄る。

少女は先程までの恐怖と助かった喜びで感情がキャパオーバーしてしまったらしく、腰を抜かして茫然としていた。それでも彼女の片手は獄寺のズボンを握って離さない。

そんな少女に視線を合わせるように山本とツナはしゃがむと、安心させるように優しく頭を撫でた。

「大丈夫だったか?」

「怖いのは倒したからね」

二人の優しい言葉に少女は言葉もなくただ頷く。段々と助かったと言う実感が湧いてきたのか、少女は泣き腫らした頬を再び涙で濡らした。

必死に三人が少女を慰めていると、不意に後ろから砂利の擦れる音が聞こえた。その音にツナと獄寺は振り返り、山本は顔を上げる。

三人の視線の先には、派手な橙の髪に、黒い着物、背に大きな刀を背負う―――酷く時代錯誤な姿の少年が立ち尽くしていた。



一護は死神代行証の知らせを聞き、トイレに行く振りをして授業を飛び出してきた。

トイレの前の空き教室に入ると一護は代行証で己の魂を抜き、死神化する。隠すように自分の体を教壇の陰に置くと、窓から外に出て霊圧を探った。

虚の霊圧はそう遠くない所に見つかった。そのすぐ近くから、ぼんやりと他の霊圧も感じる。

まさか襲われているのでは、と眉間にシワを寄せた一護は、すぐに瞬歩で虚のもとへと向かった。

それから数分もしないうちに目的の場所へと辿り着いた一護は、自分の目に映る光景に呆然とした。


見知らぬ三人の少年が、虚と戦っていたのだ。




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