堕ちて混ざって笑いましょう
悪魔の噂
それから四人とツナは、泥門の事やアメフトの事、デビルバッツのメンバーの事など他愛のない話をしていた。
途中、ふとツナは昨夕の事を思い出す。自分に協力すると笑ったヒル魔という人物。
銃刀法が存在する日本で堂々とマシンガンを所有し、時には乱射する男。
自分を―――沢田綱吉をマフィアボンゴレの関係者だと知っていた人間
「……ヒル魔さんってどういう人なんですか?」
ツナは純粋に、素朴な疑問として問いかけてみた。しかし直後、部屋の空気が固まるのを感じる。セナとまもり、そして十文字が同時に口を開いた。
「「「悪魔」」」
どう解釈しても良い意味にならない返事に、ツナはピシリと固まる。十文字は眉間にシワを寄せながら言葉を続けた。
「いいか、沢田。泥門じゃ必ず守んなきゃいけねーことが一つある。それは……『ヒル魔を敵に回すべからず』、だ」
十文字は真剣な顔でそう語った。ツナは戸惑いと恐怖に顔をひきつらせながら他三人を振り返る。ツナの視線の先では、ムサシ以外の二人が何とも言えない微妙な顔をしていた。
「…………もし敵に回すとどうなるんですか……?」
恐る恐る尋ねると、苦虫を噛み潰したような顔で十文字は答えた。
「思いもよらない外道魔道なあらゆる方法を駆使してこっちの弱味掴んできて、そのまま奴隷コース」
「……冗談ですよね?」
思わずそう返したツナだったが、悲しいことにセナ達の表情が冗談ではないと語っていた。
その頃、噂のヒル魔はとあるホテルの一室にいた。彼の左手はパソコンのキーボードの上を走り、右の手は携帯をいじっている。パソコンの画面には何人もの人間の個人データ、携帯の画面にはある男の電話番号が表示されていた。
ヒル魔はニヤリと笑みを浮かべるとおもむろに発信ボタンを押した。すぐに機械的なコール音が聞こえてくる。
数回鳴った後にコール音は止まり、不機嫌そうな男の声が聞こえてきた。
『誰?』
「俺だ」
ヒル魔の声にすぐに誰だか思い当たったのか、電話口の相手はさらに機嫌を急降下させた。
『貴方に僕のプライベートナンバー、教えた覚えないんだけど』
低く呟かれた言葉に、ヒル魔はケケケと笑い飛ばす。
「そりゃ教えてもらってねぇからナァ」
さも当然の事ように笑うヒル魔に電話口の相手は深くため息を吐く。
『どうやって……なんて聞くだけ無駄だよね、ヒル魔?』
「んなもん、分かってんだろ―――雲雀?」
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