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堕ちて混ざって笑いましょう
ただいま


オフシーズンのため、早めに部活を終えたセナは十文字とまもり、ムサシを連れて家へ帰ってきた。

最初に部活でツナの見舞いの件を話したとき、チームメイト達はみんな見舞いに行くと言ってくれた。しかしまもりの「大人数だと綱吉君が疲れるから」という言葉により、昨日のくじ引きで選ばれた『世話係組』が見舞いに来ることになった。

「ただいまー」

鍵を開けてセナが家へ入ると、他三人もそれに続いた。

「あら、おかえりなさい」

セナ母がセナの声に台所から顔を覗かせる。そして他の来客に気付くとエプロンで手を拭きながら台所から出てきた。

「あらあらまもりちゃん久しぶりね。元気にしてた?それから……そちらはセナのチームメイトさんよね?息子がいつもお世話になってます」

「こんにちわ、おばさん」

気心の知れた相手のため、まもりは気を楽にして挨拶を返す。

「どうも」

「突然お邪魔してすんません」

硬派二人はそれぞれ挨拶しながら軽く頭を下げる。そんな二人にセナ母はクスクスと笑った。

「そんなにかしこまらなくて良いのよ!さあさあ狭い家だけど上がってちょうだい!」

セナ母に招かれるままに三人は家に上がる。一足先に廊下へ上がっていたセナは、リビングの方を覗きながらセナ母へ声をかけた。

「母さん、今綱吉君は部屋?」

三人はツナの見舞いに来たのだということをセナが伝える。

「ちょっと前まで一緒におやつを食べてたんだけど、今さっき上の部屋に行ったわ」

そう言ってセナ母は二階を指差した。

セナはその言葉に頷くと、他の面子を手招きしながら玄関横の階段を上がる。まもり達もそれに従い、階段を進んだ。



「綱吉君?」

二階の自室の前についたセナは、小さめの声でツナの名前を呼びながら部屋のドアをゆっくり開ける。

ツナは部屋の隅に座っていた。

「あ、セナさん」

どこかぼんやりと窓の外を見ていたツナは、セナの帰宅に気付き顔をあげる。

そして、何か言おうとするように口を開くが、数瞬の戸惑いの後、その口は言葉を紡がないままに閉じられた。それに気付いたセナもまた、何か言おうと口を開きかけるが、それより先にまもり達がツナに言葉をかけた。

「よぉ」
「ちったぁ具合マシになったか?」
「綱吉君昨日ぶり!」

十文字、ムサシ、まもりの順で、三人はツナに挨拶しながら部屋に入る。そんな三人にツナは慌てて立ち上がるとお辞儀した。

「昨日よりだいぶ楽になりました。わざわざありがとうございます」

その多少かしこまった言い方に、セナとまもりは苦笑した。四人はそれぞれ上着や鞄を部屋の隅に置くと楽な体勢を取る。

セナは机の辺りに鞄を下ろすと、ツナの元まで近付いた。そして今度こそ、と口を開く。

「ただいま、綱吉君」

ツナは朝同様に目を丸くした。そして戸惑うように、だがどこか嬉しそうに、小さく口を開く。

「……おかえりなさい、セナさん」

セナはその言葉に一つ頷くと、満足げな笑みを浮かべていた。



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