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堕ちて混ざって笑いましょう
白い仮面の化け物

山本の言葉にツナと獄寺は振り返る。すると確かに小学生くらいの女の子が走っているのが見えた。

しかしその少女の姿を確認したツナは、軽く眉を潜める。

「……ねぇ……何だか様子がおかしくない?」

ツナは少女から目を離さずに二人に尋ねる。二人も、そんなツナの意見に頷いた。

「走ってるっつうより……何かから逃げてるように見えますね」

獄寺の言う通り、少女の必死に走る様子は、ただ走っていると言うよりも逃げていると言う方がしっくり来た。

「鬼ごっこって感じでもないし……」

一体何から逃げているのだろう、と三人は少女の走ってきた方を振り返り探す。そして目的のモノを見つけた時、三人が三人共目を見開き顔をひきつらせた。


三人の視線の先―――少女から少し離れた電柱の上には、仮面を被った異形の何かが存在した。


「な、ななななな何あれ!?」

四つ足で電柱にしがみつき、ねめつけるように少女を見る化け物。その存在にツナは思わず驚愕の叫び声を上げた。声こそあげていないものの、獄寺も山本も同様に驚きの表情を浮かべていた。しかしすぐに我に返ると、二人とも各々の武器に手をかけ、構える。

どう見ても化け物以外の何者でもないその『異形のモノ』は、まるで獲物を狙う獣のように少女を見据えていた。そして電柱の上から素早く飛び出すと、少女を飛び越えて彼女の前に降り立ち、進行方向を塞ぐ。

「なっ……!?」

象の様な大きさを誇る巨体が、少なくとも80mはあろう距離を軽々と飛んだのを見て、獄寺は思わず目を見開く。しかし次の瞬間冷静さを取り戻した獄寺と山本は、少女の危機に武器を携え走り出した。

「やぁぁあああ!!」

突然目の前に降り立った異形のモノに、少女は驚きと恐怖の混ざった叫び声を上げながら方向転換した。そしてそのままツナ達のいる公園へと入ってくる。

その少女の背に向かって異形のモノは爪を振り上げて飛びかかった。

「きゃあっ!!」

少女は異形のモノの爪に押し潰されるように地面に叩きつけられる。必死に抜け出そうともがくが叶わない。そんな少女に異形のモノは、ニタリと笑うと大きく口を開けた。

「いやぁぁあああ!!」

大きく開かれた口を見た少女は、絶望の悲鳴を上げる。

獄寺と山本はそれぞれ必死に走るがまだ少女に届かない。

―――マズイ!!

最悪の展開が獄寺の頭をよぎるのと、彼の隣を暖かい炎を纏った『何か』がすり抜けるのは同時だった。


「その子を離せ、化け物」




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