堕ちて混ざって笑いましょう
つまるところ異世界
目を覚ますと一番に目に入ってきたのは二人の親友の心配そうな顔だった。
「10代目!!」
「ツナ!!」
二人はツナが目を覚ましたことに安堵の表情を浮かべた。
「……獄寺君……山本……」
ツナはぼんやりと二人を見上げ、名前を呼ぶ。そして自分が地面に横たわっていることに気付き、ゆっくり起き上がった。
「……どうして……」
何故気絶していたのか……ツナは現状把握できていない頭を軽く押さえた。ゆっくり頭を振るように動かすと、徐々に脳が働き始めた。
「……えっと……確か俺達……登校中に急に光が現れて……声が聞こえて……それから……」
ツナは気絶する前の事を一つ一つ思い出す。そんなツナの言葉を引き継ぐかのように獄寺は口を開いた。
「……その後俺達は光に包まれたんです。そのまま光源に引かれるように光に吸い込まれ……気が付いたときにはここにいました」
獄寺はそう言って視線を辺りに向ける。ツナはそんな獄寺に釣られるようにして、周りを見渡した。
そこには全く見知らぬ街並みが広がっていた。
「……そういえば……ここ、どこ?」
思わずツナの口から言葉がこぼれる。そんなツナに山本は困ったような笑みを浮かべた。
「んー……それがよくわかんねーんだよな」
ハハッ……と山本は苦笑する。ツナは山本の言葉に首をかしげた。
「『よく分からない』……って?」
すると山本は立ち上がり、近くの電柱の側まで歩いていった。ツナも慌てて立ち上がると、後に続く。
「いやさ、住所だけでも確認しようと思ってこれを見たんだ」
山本はそう言って電柱に書かれている住所を指差した。そこには『東京都空座町弓沢一丁目三番地』と書かれている。
「空座町……?」
聞いたことのない町名にツナは首をかしげた。山本は学用鞄から地理の教科書―――地図帳を取り出すと、索引のページを開いた。
「俺も獄寺も『空座町』なんて聞いたこと無いからさ、地図帳使って索引してみたんだけど……ないんだよ」
そう言うと山本は索引ページの一点を指差した。
そこには『韓国岳(からくにだけ)』と『香良洲(からす)』が並んで記載されており、確かに『空座町(からくらちょう)』は存在しない。
ツナはその事実を確認すると、見る間に顔はひきつり青ざめていった。
「……え……つまり……」
「恐らくここは、俺達の知る東京ではない東京……ということです」
獄寺は眉間にシワを寄せてそう言った。山本が苦笑いをしている隣でツナは目を見開き、愕然とした表情になる。
「……つまりもしかしなくてもパラレルワールド!?」
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