堕ちて混ざって笑いましょう
日常からの転落
世界中を地震が襲った歴史的凶日から数日―――つまりツナ達が未来から帰還したボンゴレの吉日から数日。
朝8時頃の並盛商店街近くの住宅街。
「おはよ獄寺君、山本!」
「おはようございます、10代目!!」
「おっす、ツナ!」
ツナ達はいつも通りの日常を送っていた。
「あ、そういや山本明後日試合だっけ?」
思い出したようにツナが聞くと、山本は笑って頷く。
「おう!二人とも応援来てくれよな!」
「もちろん!」
すぐにツナは頷いたが、対する獄寺はあからさまに眉間にシワを寄せた。
「はっ、誰が行くか野球馬鹿」
しかし山本が豪快に笑いながら獄寺の肩を抱く。瞬時に獄寺は振りほどくと山本を睨み、噛み付くように声を荒げた。
「何しやがる!!」
そんな二人の様子をツナは苦笑しながら眺めていた。
(……平和、だなぁ〜……)
ツナは心の中でしみじみと噛み締める。
今日も朝から寝坊したり、リボーンに無茶ぶりされたり、ランボがウザかったりと色々大変だったが、それでも『未来』に比べたら格段に穏やかな日常が流れていた。
ツナは親友二人を仲裁し、雑談しながら学校へ向かっていた。
……向かっていたはずだった
「……え?」
何の前触れもなく、白い光が三人の目の前に現れた。
「えぇぇぇぇえええ!!?」
突然の事にツナは思わず驚きの声を上げる。
ツナの声に反応してか、はたまた偶然か、光は徐々に強くなった。
不思議と熱を感じない光に、獄寺と山本も身構え武器に手をかける。
しかしやがては目を開くこともままならない程強くなった光に二人は容易に武器を構えることも出来なかった。
不意にその時、三人の頭に静かな声が響いた。
『―――破壊の嵐―――沈黙の雨―――源の大空―――』
ツナはその声の冷たさに、背筋が寒くなる。それと同時に嫌な予感がした。
「この光の側に居ちゃダメだ!!」
ツナは叫び、手探りで二人の腕を掴む。そしてそのまま光から遠ざかろうと二人を引いて後ろに走り出した。
「10代目!!」
「ツナ!!」
二人もツナの意図を察し、すぐに方向転換して走り出す。
しかし、それを妨げるかのように、光は強さを増し範囲を広げ、やがて光は三人を完全に内にとらえた。
まずい、そうツナが思った次の瞬間、三人は自分達を後ろに強く引く引力のような力を感じる。
『―――力を我が手に―――』
再び響いた冷たい声を最後に、三人の意識は途切れた。
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