堕ちて混ざって笑いましょう
行ってきます
手当てに使ったものをある程度片付けると、セナは床に二つの布団を敷いた。
「綱吉君疲れてるでしょ?今日は早めに寝ちゃった方が良いよね」
ツナはセナの言うことに素直に頷く。二人は歯を磨くなど寝る準備を整えると、並んで布団に入った。
「おやすみ、綱吉君」
「……おやすみなさい」
そして二人は眠りにつく。
翌朝、セナは目覚ましの音に目を覚ました。すぐに目覚ましを止めてぼんやりと辺りを見回す。そしていつもとは違うツナの存在に、セナの頭は段々と回転し始めた。
そんなセナの隣でツナはまだ寝息をたてて眠っている。
(……まだ起こさなくていっか)
セナは自分の布団だけ畳むと学校へ行く準備を整える。
ツナはセナが制服を着終え、授業の準備をしているときに目を覚ました。
「おはよう、綱吉君」
セナは振り向いて明るく挨拶する。一瞬ツナは自分の見慣れていない部屋に呆けていたが、セナの姿を見て前日の事を思い出した。
「おはようございます、セナさん」
セナの私服を貸してもらい、二人は一階のリビングへ降りる。
「おはようセナ、綱吉君」
セナの母がキッチンから顔を出した。
「おはよう」
「おはようございます」
それぞれ挨拶を返すと、セナ母は満足そうな表情を浮かべてキッチンへ戻っていく。
テーブルの上には既に朝食が用意されており、二人は昨晩と同じ席に座った。
「「いただきます」」
二人は手を合わせて朝食を食べ始める。テレビからは朝のニュース番組が流れていた。
「昨日はよく眠れた?」
セナ母が再びリビングに顔を出して尋ねる。
「あ、はい。お陰様で」
ツナがそう言うと「そんなに畏まらなくて良いのよ」と笑った。
「言ったでしょう?ここを我が家だと思って楽にしてって」
そんなセナの母にツナは戸惑った表情を浮かべるが、やがて小さく頷いた。
「ありがとうございます」
朝食を食べ終えた二人は部屋に戻る。
「今日はうちで休んでて」
セナがそう言うのに対してツナは素直に頷いた。
セナは最後に荷物の見直しをすると、それを担いでツナを振り返った。
「それじゃあ、行ってきます」
セナの言葉にツナは目をパチパチと瞬かせる。
しかしすぐ我に返ったツナは少し戸惑いながらも小さく口を開いた。
「いってらっしゃい、セナさん」
セナは満足そうに笑うと手を振って部屋を出ていった。
部屋に一人になったツナは、セナの出ていったドアを見つめながら考える。
(……家族ってこういう感じだったな……)
ぼんやりと、ツナはかつての我が家を懐かしんだ。
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