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堕ちて混ざって笑いましょう



朝、快晴の下。


「おはようございます、10代目!!」

「おはよー獄寺君」


日常と化しつつある光景。

二人は待ち合わせ場所で合流すると、他愛もない話をしながら学校へ向かう。

「あ、そういや……」

獄寺は何かを思い出したように顔を上げた。そんな獄寺にツナは首をかしげる。獄寺は頬を掻きながら申し訳なさそうな顔をすると、口を開いた。

「申し訳ないんですが……明日俺一旦イタリアに戻りますね」

「え?」

唐突な帰国宣言に思わずツナは声を上げる。

どうしてかとツナが首をかしげると、獄寺はバツの悪そうな表情を浮かべた。

「実は……手持ちのダイナマイトが切れまして……まだ日本での入手ルートを確保してないもんですから……」

部下でありながら武器を切らすなんて……すみません!!

そう必死で謝る獄寺に対してツナはホッとした表情を浮かべた。

「なんだ……獄寺君の実家で何かあった訳じゃないんだね」

安心したようにそう言うと、獄寺は一瞬呆けた顔をする。それから獄寺はすぐ笑って顔の前で手を振った。


「あ、俺家出中なんで実家の情報一切入ってきませんよ」


ツナは思わず歩いていた足を止めた。ツナが獄寺を見上げると、獄寺は何でもないような顔で笑っている。

「え?今何て……?」

恐る恐るツナが聞き返すと、獄寺は再び口を開く。

「俺、家出中なんで、実家が今どうなってるかわかんねえんすよ」



ツナは悪いと思いつつ、学校に着くまでの道で獄寺から詳しく話を聞いてみる。

すると獄寺の驚きの経歴が次々明らかになった。


幼い身での家出から始まり、

マフィアを訪ね歩く旅をし、

その過程で『悪童』や『スモーキン・ボム』の名を馳せ、

最終的にボンゴレに拾われ、

そして今日に至る。


「なんて波瀾万丈な人生……」

生活資金も無い中よく生き残れたね……

ツナは驚愕に頬をひきつらせながらそう言う。そんなツナに獄寺は照れたように頭を掻いた。

「そんなことないっすよ」

二人は話している内に並中が見えるところまで来ていた。二人は談笑しながら校門をくぐる。すると、朝練のランニング帰りなのか野球部の面々が二人の横を次々と追い抜いていった。

「おはよう」

「おっす、沢田に獄寺!」

何人か同じクラスの生徒が二人に挨拶する。ツナが一人一人に挨拶を返す一方で、獄寺は黙ったまま野球部員達を睨み付けていた。

「おはよう!」

そんな二人に最後に挨拶したのは、野球部1年エースの山本だった。

「おはよう山本。後ろ走ってるなんて珍しいね」

登校時間がランニングの終わりとかち合う事の多いツナは、いつもと違う光景に首をかしげる。

そんなツナに山本は苦笑いを浮かべた。

「ん〜……まあ、ちょっとな」

そう言って山本は誤魔化すように首を掻く。


その時、山本の肩でチラリと不自然に揺れる影がツナの目に映った。


「……え?」

ツナは咄嗟にゴシゴシと目を擦る。そしてもう一度よく視ようと顔を上げたが、それは叶わなかった。

「おーい!山本ー!!」

チームメイトに呼ばれた山本は慌てて後ろを振り返る。

「あ、やっべ!まだ朝練中だった!!」

「えっ、あ……」

「また教室でな!」

呼び止めようとするツナには気付かず、山本はその場を立ち去った。

「どうかしましたか、10代目?」

なんだか様子のおかしい事に気付いた獄寺が心配そうにツナに話しかける。

しかしツナはすぐに笑って「なんでもない」と首を振った。


(……気のせい……だよね?)


拭いきれない不安を抱えながら、ツナは獄寺と共に教室へと向かった。


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あきゅろす。
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