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進撃×蟲師2

この山はやはりおかしい。そう気づいたのは、山に入ってまもなくだった。



『この山に人が入ると時折帰らぬ者が出る』

噂を聞き、その現象に蟲が絡んでいるのではないかと思い、調査に来たのが事の始まりだった。手始めに地元民に色々と話を聞いていたところ、何でもこの山は毎年実りが豊富なのだが、それを採りに山深くに入ると帰らぬ者が出たり、帰っても気が触れていたりするらしい。そのため地元民はこの山を『魂食いの山』と恐れ、近寄らないと言っていた。

話だけ聞けば光脈筋の山に起こる現象によく似ている。しかし光脈図を見てもここが光脈筋だと言う情報はのっていないし、探ってみても光脈筋の気配は無かった。

その話だけではまだ蟲の特定はできなかった。だがこの村ではもうそれ以上の情報は手に入らないだろうと判断した俺は、村の者には反対されたが、山に入ってみることにした。

山に入れば、もう秋の終わりだと言うのに木々の葉は未だ緑豊かで、実をつけているものも多かった。しかし何故だか山から精気を感じない。 これ程までに実り豊かな土地であれば、例え光脈筋でなくとも山から精気が溢れるだろうに。

それに何よりおかしいのは蟲がいないことだ。これだけ豊かな土地であれば、わんさかと蟲がいるはずなのに、たまにどこにでもいるような蟲を見つける程度で、まるで貧しい土地に来たかのような感覚だった。

恐らくこの現象も、何らかの蟲が関わっているのだろう。

(どっかでこんな話聞いたような……)

蟲師にとって他の蟲師の記録や、蟲師に聞いた話は大切な情報源だ。どうにかして思い出そうと頭を捻らせる。

考え事をしながらも歩く足は止めず、気付けば山の中腹まで来ていた。

「……ん?」

ふと見上げた先に、違和感を覚える。


木の上に人がいた。


思わぬ光景に驚いて、くわえていた蟲煙草を落としかける。慌てて蟲煙草をくわえ直し、よくよく見上げると、木ノ上で枝にまたがるソイツは、俺に気付かず何かに手を伸ばしていた。

「よーし、いいこだから、そのまま……そのまま……」

何に手を伸ばしているのかと、手の先を辿ると、そこには緑に光る半透明の存在……蟲がいた。

「おい!アンタ何してる!止めろ!」

慌てて大声で止めながらソイツのいる木に走り寄る。ソイツは俺の声に驚いたのか、ビクリと肩をすくめてこちらを見た。

そしてパッと笑顔を浮かべた。

「やあ、こんにちは!やーーっと人に会えた!嬉しいよ!ずっと一人で寂しかったんだ!私はハンジ・ゾエ、よろしくね!」

捲し立てるような言葉の数々に、思わず足を止める。しかしソイツは構うことなく話し続けた。

「ここにいるってことは君もお仲間なんでしょ?私はさっきこっちに来たばかりで、知らないことばかりなんだ。悪いんだけど、色々教えてくれると嬉しいな。とりあえずこの緑の生き物は……ってああ!また逃げられちゃった!もう少しで触れそうだったのに!」

喜んだと思ったら今度は落ち込んだ様子で肩を落とすソイツーーーハンジに、色々ついていけない。

「……とりあえずそこから降りてこい。話はそれからだ」

そう言えば、「それもそうだね」と枝の上で立ち上がる。幹を伝って降りてくるのかと思ったら、あろうことかハンジは結構な高さのあるその場所から飛んだ。

「あぶ……!」

慌てる俺を尻目に、ハンジは腰から隣の木に向けて縄のような何かを飛ばす。それは隣の木の幹に突き刺さり、ハンジはそれに支えられ、放射を描きながら降りてきた。地面に無事足をつけると、縄のようなそれは木から外れ、腰の装置に収納されていく。

遠目で気づかなかったが、ハンジは汚れた緑の外套の下に見慣れぬ衣装と鉄の装置を身に纏っていた。



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