novel
狐と狸
「鉢屋先輩は狐みたいです」
いつも冷静な男の子が言いました。
「尾浜先輩は狸みたいです」
勉強が大好きな男の子が言いました。
「私は狐なんだそうだ」
人の顔を借りた忍が口を歪めて笑いました。
「俺は狸なのか〜」
独特な髪を持つ忍が目を細めて笑いました。
「「良い得て妙だ」」
「己が腹の内を見せず、時に無邪気に残酷に、気紛れに仔狸も古狸も演じて見せ、気が付いたら消えている。確かに勘右衛門は狸のようだ」
「野火の如く野を駆け、人に化けては人を騙し、悪知恵を働かせ、時に狼すらも惑わせる。確かに三郎は狐だな」
互いが互いを見合ってから、くつくつと二人が笑いを漏らす。
しかし幼い子供達は首を振った。
「「僕達別にそういう意味で言ったんじゃありません」」
「ただ僕達は」
「先輩方の悪戯が」
「「狐や狸の様だと申しただけです」」
そう言うと、二人は狐と狸に金槌と板を持たせる。
「シリアスムードで僕らを撒けると思ったら大間違いです」
「さっさと壊した屋根直しに行ってください」
「「用具委員に任せちゃダメ?」」
「「ダメです」」
のらりくらりと人を騙し、惑わせ、撒いていた獣二匹も、己の後輩二人だけは撒くことが出来ませんでした。
―――――
なんぞ、これ。
学級委員会は一年生二人が上級生二人よりも年長のよう……ってのが書きたかったはずなのに……?
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