[携帯モード] [URL送信]

novel
三年ろ組 作兵衛危機
「待て!!待て待て待て待て待て!!!」

顔を真っ赤にさせた少年の全力ストップを全力で無視する迷子二人。

「おっろせええええええ!!」


場所は裏山、時は夜。
響く声は富松作兵衛。
彼の足には血染めの包帯。


「あんまり叫ぶと傷にさわるぞ作兵衛」

「そうだぞ!大人しく運ばれろ!!」


彼の立ち位置……神崎左門と次屋三之助の二人により組まれた騎馬の上。


(〜〜〜!怪我さえしてなきゃ……!!)


ドジって崖から落ちた作兵衛は方向音痴で有名なクラスメートにより運ばれていた。
怪我した右足は既に応急措置済みだが、自分の足で歩ける状態ではない。
結果、なすがままに方向音痴二人に運ばれるしかないのだが、これではいつ学園に戻れるかわからない。

(……生きて帰れるかな……)

冗談抜きで死神が降りてきそうだ。

(二人が好き勝手歩くからもう俺も現在地わかんねえよ……!!)

しかし全ては自分のドジゆえの結末であるため、文句は言えない。作兵衛は大人しく二人に乗っかることにした。




「着いた!!」

作兵衛は左門のその声で目を覚ます。
いつの間に寝てしまっていたのか……ぼやける目を擦って顔を上げると、そこには忍術学園の看板が。


「……え?」


作兵衛はもう一度目を擦る。しかし看板は幻覚ではなかった。

作兵衛は月を見上げるが、忍術学園に向かい始めてからまだ一刻しか立っていなかった。

「…………」

開いた口が閉まらない。

夢かとも思ったが、常時足が痛むためそれはない。

「…………こいつら自力で着きやがった…………」

作兵衛はただひたすら驚いていた。

「変なこと言うな、作兵衛は。いつも通りじゃん」

三之助がそう言うが、ツッコミを返す余裕すらなかった。

「俺達もやればできるんだぞ!!」

左門がそう言って胸を張る。

「…………じゃあ常時頑張ってくれ…………」

作兵衛はかろうじてそれだけ返した。







--------

仲間のためなら方向音痴だって克服できる……なんてことがあったら萌える。

[次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!