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大空と錬金術師
仲間

エドとアルは顔を上げた。
ツナは二人に笑いかけている。


「辛いこととか怖いことも沢山あったけど……でもそれだけじゃなかった」


それまで友達と呼べる存在がいなかったツナは、リボーンが来てから獄寺や山本、ハルなどの沢山の友達ができた。


それまで高嶺の花と思い話すことすら出来なかった京子とも、仲良くなることができた。


母親の奈菜とツナしかいなった家は、今や騒がしくも愛しい居候達で大にぎわいとなっていた。


他にもディーノやクローム、ラルや正一など沢山の人と出会うことができた。


みんなリボーンが来なかったら得られなかった大切な人達。


大切な仲間。


ツナは暗い顔をしている二人に一生懸命伝えた。

「俺はマフィアのボスになるつもりはない。……でも、マフィア関係で集まった仲間でも、みんなは俺の大事な仲間なんだ。マフィアにはなりたくないけど、みんなに会えたから、俺は自分の家系を恨んだりしない」


そこまで言うと、エドとアルを見た。

二人はツナの言葉に納得したように「そっか」と言って笑っていた。



「ナッツはライオンというより猫みたいだね」

ツナの話が終わり緊張が解けた頃、無類の猫好きであるアルはナッツと戯れていた。

「よく言われる。戦うときはもっと凛々しいんだけど……」

ツナはちょっと苦笑いして応える。

アルはツナの言葉に(飼い主に似るんだな)と思っていた。

「この世界に来たのはツナだけじゃないんだよな?」

考え事をしていたエドはツナに問いかける。

「うん。俺の仲間が二人、こっちに来てると思うんだ」

ツナは頷く。

「今日マスタングさんに探し人がいることだけ伝えて、それっぽい人が憲兵に厄介になってないか聞いてくれないか頼んだんだけど……」

あとは全く手がかりがない状況だ。

この世界に来てすぐにテロリストに遭遇したこともあり、ツナは二人を心配し、早く見つけたいと思っていた。

「……なあ、ツナ」

ツナはエドの呼び掛けに顔を上げる。

「俺達、元の体に戻る方法を探すためにいろんなとこを旅をしてるって言ったよな?」

「うん」

ツナは頷いた。

エドはツナの目をまっすぐ見て口を開く。

「……ツナも俺達と一緒に旅しないか?」


これはエドがツナから話を聞く前から考えていたこと。

そして今回ツナの話を聞いて、より強く『こうするべき』だと思ったこと。

−−−右も左も分からない異世界でツナが友を探すため、そして元の世界に帰るために最善であるとエドが導きだした結論。

「俺達みんな探し物をしてるんだ。探すモノは違っても、やることは同じだろ?」

各地を回り、人を訪ね、話を聞き、手がかりを探す。

人だろうが物だろうが方法だろうが、探し物をするときの手順は同じ。

「もちろん、俺達の『探し物』も手伝ってもらうだろうけど、俺達もツナの仲間を探すの手伝うから」

どうだ?とエドはツナに聞いた。

ツナはエドの申し出に凄く嬉しく感じる一方で、申し訳なくなる。

確かにやることは同じかもしれないが、ツナがいなければエド達は自分達の旅に集中できるのだ。

そこに自分が介入するのは迷惑なのではないだろうか。

しかも自分はこの国の金など持ってはいない。

旅費の全てをエドに頼ることになってしまう。

一緒に旅はしたいし、それが獄寺と山本を見つける一番の近道だということも分かる。

だが二人には迷惑をかけたくなかった。

二つの想いに挟まれ、決断できずにいるツナを見透かしたのか、エドは口を開く。

「言っとくが迷惑なんかじゃないからな」

ツナはうつ向きかけていた顔を戻し、エドを見た。

「ツナの力は頼りになるし、それは錬金術とは全く違った力だ。もしかしたらそこに俺達の体を戻すヒントが隠されているかもしれない。そうでなくても異世界人の考え方なんて滅多に聞けるもんじゃないしな。俺達の視野を広げるきっかけになってくれるはずだ。この申し出は、何もツナのためだけのもんじゃない。俺達にも利益がある話なんだよ」

アルもナッツを抱えながら頷く。

「お金だって兄さんが使いきれないくらい持ってるから大丈夫だよ」

ツナもさすがにここまで言われては何も言えなくなってしまった。


断る理由も、なくなってしまった。


ツナは顔を上げ、二人の顔を見る。


「……えっと……その……うん。これからよろしくお願いします」


ツナがちょっと照れたような表情を浮かべて笑うと、エドとアルも嬉しそうに笑った。


「こちらこそよろしくな!」

「よろしくね、ツナ!」





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