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大空と錬金術師
車内

アームストロングの手配により二台の車が迎えに来ていたため、ツナと獄寺、エドとアルに別れて乗車した。

護衛の二人は国家錬金術師であるエドを護るために、兄弟の車の方に乗車する。そのため獄寺とツナは四人乗りの車を広々と使っていた。

「護衛がどうとか話してましたが……あのチビ、タマでも狙われてるんですか?」

事情を知らない獄寺がツナに尋ねる。

「うん、実は……」

ツナは獄寺の言葉に頷くと、リゼンブールではウィンリィとピナコの目を気にして話せなかった、イーストシティでの傷の男との戦いやイシュヴァールでの殲滅戦争の事を話した。

「そんな大変なときにお側にいれなかったとは……右腕失格っす!!」

ツナが話し終わるまで静かに聞いていた獄寺は、そう言うと俯いて頭を抱えた。

「いや、しょうがないよ異世界なんだし!離ればなれだったし!!」

慌ててツナは落ち込む獄寺のフォローに回る。励ますようにツナが言葉をかけていくと、段々と獄寺も復活してきた。

「それにしても……あのチビ、厄介な奴に目ぇ付けられてるんすね」

獄寺は車の窓越しに後方のエド達の乗る車を見やる。同様に窓に目をやりながらツナも頷いた。

「あの人本当に強かった」

今でも鮮明に思い出せる鋭く重い殺意と、復讐と怒りに染まった紅い瞳。

友達を殺されかけたという事実。

「……出来ればもう闘いたくないや」

眉をハの字に寄せてそう言うツナに、獄寺は白い歯を見せてニカリと笑った。

「大丈夫です!次は俺がいますから、10代目のお手を煩わせることはありません!」

相変わらずのツナの本心からずれた返答に、ツナは思わず苦笑した。

(でも、また会う気がする)

あの人は簡単に負けないだろうし、きっと負けるまで復讐を続けるだろうから……いつか再びエドの前に現れる気がする。

これは超直感ではなく、ただの勘だった。だがツナの中には、確信めいた何かがあった。


車が停車して、運転手がドアを開けてくれる。ツナはそれにお礼を言いながら、車を降りた。

しかし目の前には、ツナ達が予想だにしなかった光景が広がっていた。

唖然としてその光景を見つめるツナの後ろで、エド達の車が止まる音がする。そうして降りてきたエドとアルもまた、唖然として目の前の『図書館だったもの』を見つめた。


国立中央図書館第一分館は、見るも無惨な姿で焼け落ちていた。




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