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大空と錬金術師
中央

大きな駅のプラットホームに汽車がゆっくり停車する。

汽車が完全に止まると我先にとでも言うようにエドは汽車を飛び降りた。

「早くしろよアル!ツナ!」

「てめぇ何10代目を急かしてんだ」

「ご、獄寺君……」

「兄さん、そんなに急がなくても……」

「うむ、図書館は逃げることはないぞ」

「良いから早く!」

長い汽車の旅を終え、エドはホームの真ん中で体を伸ばす。そしてプラットホームに掲げられた駅名を見上げて嬉しそうにニッと笑った。

「来たぜセントラル!!」

それから一行はアームストロングに言われて、プラットホームの出口へと移動する。出口には青い軍服に身を包み敬礼のポーズをとる男女の若い軍人がいた。

「アームストロング少佐、お迎えにあがりました」

「うむ、ご苦労。ロス少尉、ブロッシュ軍曹」

アームストロングは軍の上司らしく真面目な表情で二人を労う。二人の内金髪の男の方がアームストロングの後ろにいた兄弟に目を向けると「おっ」と声を漏らした。

「こちらが鋼の錬金術師殿でありますか」

そう言うと二人はまっすぐにエドを素通りし、アルの方へと歩み寄る。

「マリア・ロスです。お会いできて光栄です!」

「デニー・ブロッシュです。いやぁ二つ名通りの出で立ち!貫禄ですな」

ナチュラルに素通りされたエドは眉をつり上げ口を大きく開いたまま固まった。そんなエドに獄寺は嘲笑うように鼻を鳴らす。アルは自分を鋼の錬金術師と勘違いする二人に慣れた様子で首を振ると、無言でエドを指差した。同様にアームストロングもエドを指差す。

「え?」

「あっちのちっこいの?」

驚きにより素が出てしまったのか、気の抜けたような声をあげながら二人はエドを見る。コンプレックスをストレートに刺されたエドは怒りの表情を浮かべて二人を睨んだ。

「こっ……これは失礼しました!!」

「ちっこいだなどと、いえ、その……」

失言に気付いた二人は慌てて弁解する。そんな二人の様子を見てツナは軍でのエドの地位の高さを改めて知った。

「では我輩はこのまま中央司令部に報告に赴くゆえ」

アームストロングはそう言って片手をあげる。

「え?何?ここでお別れ?お疲れさん、残念だなぁバイバイ!!」

エドは嬉しそうにアームストロングに手を振る。そんなエドにアームストロングは涙を浮かべてがっしりと抱擁をかました。

「我輩も残念だ!!まっこと楽しい旅であったぞ!!また後ほど会おう!!」

ぼきべきみしげしょと聞こえてはいけない音が鳴り響き、エドは悲鳴をあげる。

かつてその筋肉の被害にあったツナは少し距離を保ちつつもアームストロングに挨拶する。

「この4日間本当にお世話になりました」

お辞儀をすればアームストロングは手を横に振る。

「気にするな。それより、仲間に再会できて本当に良かった」

出来る限り中央のつてでもう一人の仲間の行方を探してみよう、と笑うアームストロングにツナはもう一度深くお辞儀した。

「後は任せた」

「「はっ!」」

ロスとブロッシュにそう言い、二人はそれに敬礼で返した。エドはまだ護衛が外れないと言うことに不満げにしていたが、エドの文句など意にも介さずアームストロングは自分の荷物を抱えて駅を去っていっいた。



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