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大空と錬金術師

良いとは言えない頭脳が悲鳴を上げる。混乱が混乱を呼び、目眩がした。

エドとアルに分からないようにこっそり溜め息を吐く。

現状を打開する案が何も浮かばず目線を下げる。


ふと……目に止まった、足元のそれ


見覚えのある……鞄


「あっ……」

思わずツナは声を上げた。足元に転がっていたのは、最近ツナが防犯に持ち歩く鞄だった。

何故防犯かと言うと、次期ボンゴレボス候補であるツナは敵対マフィアから命を狙われる身だからである。様々の経験で強くなったとは言え、死ぬ気丸がなければただの子供。
自分の身は自分で護れるように、誰も巻き込まないで良いように、最近では必要な物を入れた鞄を持ち歩くようにしていた。

鞄を視認すると同時にその持ち手をひっ掴む。その勢いのままエドやアルが見ていることも気にせず中身を漁る。

中からは、死ぬ気丸と手袋、コンタクトレンズ、ヘッドホン……ツナの戦闘フルセットが出てきた。ボンゴレリングもナッツも首に鎖で架かって揺れている。
ツナは安心した様に息を吐いた。

「どうかしたの?」

そんなツナの様子を見ていたアルが首をかしげて尋ねる。

ツナはそこで二人がいたことを思い出した。

「あっ、そのっ、荷物のかか確認……を……」

段々と恥ずかしくなって最後は尻窄みになってしまった。

「あの……さっきまで寝ちゃってて……貴重品と、か、盗まれてないかなー……とか……その……」

しどろもどろと言い訳を続けるツナ。そんな様子に二人は苦笑を漏らした。

「分かった分かった。……で、貴重品は無事だったか?」

エドの言葉に思わずツナは「うん」と答えた。しかし心の中ではあることに気付き焦る。

確かに自分の力になるものは全部鞄に入っていた。しかし……この国の金や、列車の切符……この列車の乗客なら持っているべき『貴重品』を自分は持っていない。

(戦う為の武器の確認してる場合じゃないってーーー!!)

ここはどこか確かめるとか、獄寺と山本を探すとか、そんな事をする暇もなく無賃乗車で捕まるだろう未来に泣きそうになった。





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