大空と錬金術師
違和感
握手してから、ツナは首をかしげた。
(何か今……おかしなことを聞き流したような……)
『僕は弟のアルフォンス・エルリック。よろしくね。』
(何か……)
『僕は弟のアルフォンス・エルリック。』
(……)
『弟の』
「弟ぉ!!?」
初対面の相手にも関わらず、思わずつっこんでしまった。
(デカい……隣の少年の弟にしては……デカ過ぎる……むしろ兄だと言われた方がしっくりくる)
そんなツナにアルフォンスは乾いた笑い声を響かせる。
「うん、弟。」
ツナは自分の失礼な発言に気付き、慌てて謝った。
しかしアルフォンスは全く気にした様子を見せないで笑っている。
「エドワードさんの弟さんって事は……アルフォンスさんって俺と同じくらいですよね……?あ、オレは14歳なんですけど……。」
平均よりだいぶ身長の低いエドワードではあるが、自分とほとんど年齢が変わらないだろうことには気付いていた。
ということは、アルフォンスは自分と同じか……下手すれば年下である。
「あ、じゃあ同い年だね。僕も14歳」
表情は見えないが、声で笑っていることがわかる。
しかし、アルフォンスのその解答に、ツナはコンプレックスを抉られた気がした。アルフォンスはそんなツナには気づかず、ツナの前へ座ろうと足を踏み出す。
鎧の擦れる音が辺りに響いた。
(……あれ……?)
ツナはその音を聞きながら、心の中で疑問符を浮かべる。
それに続いてエドワードも座席に座る。
(……また、だ……何かが……おかしい……)
なんでも無いヒトコマであるはずなのに、言い様の無い違和感を感じる。
「大丈夫か?」
「気分悪い?」
黙り込んだツナの様子に不安になった兄弟がそれぞれ声をかける。
その声に我に帰ったツナは「なんでもないよ」と首を振った。
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