大空と錬金術師
挨拶
「さて!辛気臭ぇ話はこれで終りだ」
ヒューズがそう言って立ち上がる。途端に辺りに張られていた緊張の糸が解け、空気が変わる。
ヒューズはそのままツナのいる方へ近付いた。
「挨拶が遅れたな。俺はマース・ヒューズ。地位は中佐で宝物は妻と娘。よろしくな」
手を伸ばされて慌ててツナは握り返す。
「沢田綱吉です。よろしくお願いします」
そう言うとヒューズは人の良さそうな笑みを浮かべ、ツナの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。突然の事にツナは驚くが、すぐにヒューズの笑顔につられて小さく笑った。
そんな二人の元へアームストロングも近付いていく。
「我輩はアレックス・ルイ・アームストロング。地位は少佐である」
戦闘時は世話になったな!!
そう言ってアームストロングは軍服を脱いでボディービルのようなポーズをとる。
(なんで脱ぐの!?てかマッスルポーズ!?)
あまりの事にツナがびっくりして呆けていると、ヒューズは快活に笑った。
一通り笑ったヒューズはエド達を振り返る。
「自己紹介も済んだところで……エルリック兄弟はこれからどうする?」
その問いにエドは頬を書きながら呻く。
「うん……アルの鎧を直してやりたいんだけど俺この腕じゃ術を使えないしなぁ……」
その言葉に目を光らせたアームストロングが自慢の筋肉を盛らせながら「我輩が直してやろうか?」と尋ねたが、即刻アルに拒否されていた。
「アルの鎧と魂の定着方法を知ってんのは俺だけだから……まずは俺の腕を元に戻さないと」
エドの言葉にアルも頷いている。
そんな二人にリザがしみじみと頬に手をあてる。
「そうよねぇ……錬金術の使えないエドワード君なんて……」
「ただの口の悪いガキっすね」
リザの言葉を引き継いでハボック。
「くそ生意気な豆だ」
ハボックに続いてヒューズ。
「無能だな無能!」
真剣そうな表情でマスタング。
「ごめん兄さんフォローできないよ」
とどめにアル。リザは後ろで皆の意見に頷いている。
「イジメだーーー!!」
そんな周りの反応にエドが半泣きで叫んだ。
(まあ俺もなんだけどね)
ツナは苦笑いを浮かべながらその様子を眺めていた。エドは少しの間うちひしがれていたが、すぐに立ち直ると機械鎧のあった右の肩を押さえる。
「しょーがない……うちの整備師の所に行ってくるか」
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