[携帯モード] [URL送信]

大空と錬金術師
敵味方



東方司令部に着いた一同は、会議室に集まっていた。

「……綱吉君……といったかな?」

マスタングがツナを呼ぶ。ツナはマスタングを振り返った。

「まずあの男の話をする前に……君の事を教えてもらいたい」

ツナはマスタングの言葉に少しだけ肩を揺らした。

マスタングだけでなく、リザやハボック、アームストロング、ヒューズ達も皆一様にツナを見ている。

ツナは居たたまれなくなり、少し俯いた。

「……単刀直入に聞こう。あの炎は何だ?」

エドがツナをフォローするため席を立とうとした。しかしリザがその肩を押さえて座らせる。

どうして、と言うようにエドがリザを振り返ると、リザは何も言わずに首を振った。

そんな中、再びマスタングが口を開く。


「私は君の言葉で聞きたい」


マスタングはまっすぐにツナを見た。

その時ツナは誤魔化しや偽証が通じないことを悟った。

そしてツナは、さ迷わせていた視線をマスタングに合わせ、ゆっくり口を開いた。


「今から言うことは……信じられないかもしれませんが、本当のことです」



ツナは全て話した。

自分が異世界人であること

自分の世界のこと

ボンゴレと死ぬ気の炎のこと

全て話した。



(……)

エドはツナが話している間静かにそれを聞いていた。

エドは何故リザが自分を止めたのか分かっていた。

ツナがマスタングやヒューズ達から信頼を勝ち取るためには、ツナ自身が自分の言葉で真実を伝えるしかない。

そうでなければ説得力がない。


分かってはいるが、しかし何故ツナが言いづらそうにしているのかも分かっていた。


ツナはマフィア次期ボス候補だ。

その事を当時心を許し始めていた自分達に話すのすらあんなに戸惑ったのだ。

だというのに歳の離れた……しかも軍人相手に、『自分はマフィアだ』なんて言えるはずがない。

もちろんマスタング達はツナがマフィアだからと言って偏見を持つような人間じゃないと知っている。

知っているからこそ、フォローに入ろうと思った。

(でも……仕方ない、よな……)

心の中で重い溜め息を吐きながらエドは、ツナが話しているのを見つめていた。



全ての話を聞き終わる頃には、マスタング達はそれぞれ驚いた表情をしていた。

「……」

ツナは気まずそうに俯いている。

(なる気はないとは言え……マフィアのボス候補だもんな……)

ボンゴレが元自警団だとしても、比較的良心的なマフィアだとしても、マフィアであることには―――人殺しを容認する組織であることには変わりはない。

軍人の敵と言っても過言ではない。



「綱吉君」

唐突に呼ばれてツナは肩を大きく震わせた。

次に続く言葉を聞くのが怖くなり、拳を強く握る。

「つまり君が言うに、死ぬ気の炎というのは炎を象ったエネルギー体なんだね?」

ツナは思ってもみなかった言葉にポカンとした。

しかしすぐに我に帰るとツナは頷いてマスタングの言葉を肯定する。

マスタングはそれを見ると納得したように頷いた。

「なるほど……死ぬ気の炎……非常に興味深いな」

そう言ってマスタングはニヤリと笑うと、何かを考えるように腕を組んだ。

「……あの……?」

ツナは訳も分からずマスタングに声をかけた。

「なんだね?」

マスタングは一度思考を止めるとツナを振り返る。

「え、あの……俺の事、もう良いんですか?」

思わずそう尋ねるとマスタングはおかしそうに笑った。

「疑って欲しいのかね?」

すぐにツナは首を勢いよいよく横に振る。

「違います!違うんですが……」

疑って欲しいわけではないが、こうも何もないとそれはそれで拍子抜けな気もする。

それが分かっているのかマスタングはにこやかに笑うと口を開いた。

「包み隠さず話してくれたからな。君が敵でないことはよく分かった」

敵でないなら何の問題もない。

その言葉にツナはホッとして笑みを浮かべた。そんなツナにエドやハボックも頬を緩める。

しかしヒューズは眉間にシワを寄せていた。

「敵じゃなかった綱吉は良いとして―――問題は『奴』だよな……」

その言葉にマスタングとリザも険しい顔になる。

「イシュヴァールの民か……」



[*BACK][NEXT#]

6/8ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!