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大空と錬金術師
列車


やっと日常に戻ってこれたと思ったのに


平凡な日常があればそれで幸せなのに


スリルもサスペンスもいらないのに


……どうしてこうなったの……




気がついたら列車に乗って揺られていました。

「えええぇえぇぇえ!!?」

体を預けていた椅子から思いっきり飛び起きる。ツナの大声に反応して回りの人達がこちらを振り向くが、構っていられない。


ここどこ!?


その思いで一杯なツナに、周りの人を気にする余裕など欠片もなかった。

オロオロと周りを見渡すと、そこはツナのよく知る電車とは明らかに違っていた。

レトロな内装に、固い椅子。

そこらに置かれている布製や革製の旅行鞄。

何より、その鞄の持ち主である乗客達の……西欧的な顔立ち。

現在日本にいる、と言われるより、シベリア特急に迷い込んだ、と言われた方がまだ納得できる状況の数々。

訳のわからないそれらの状況に、ツナはもう一度気絶したくなった。

(どうしてこんなことにーーー!?)

取りあえず一度席に座り、頭を抱えて考える。

しかし考えれば考えるほど混乱し、半分涙目になっていた。

ツナは不安と動揺でバクバクとうるさい心臓を努めて冷静にさせようとしながら、自分の記憶を手繰り寄せる。

(えっと……リボーンが留守で……獄寺君と山本が遊びに来て……二人と宿題片付けて……公園まで見送り行って……それで……それで……)


思い出した。


不思議な蒼白い光と足元に広がる陣

そして目の前で消えた二人の親友の事を

陣に吸い込まれた自分の事を

その瞬間ツナの顔は蒼白となる。


自分の今の状況も、あの光も全然分からないが、今はもっと重要な事があった。

(獄寺君と山本は無事……かなぁ……)

取りあえず、自分はどこか見知らぬ場所に来てしまったらしい。

多分原因はあの光とか陣だろう。

そしたら、自分と同様に光に包まれ陣に吸い込まれた二人は?

二人もどこかに飛ばされてしまった可能性が高い。

(探さなきゃ……!)

無意識にツナは自分の拳を強く握った。

−−−−ふと、目の前が陰った。

「ちょっとアンタ」

唐突に話しかけられ、ツナはビクッと肩を揺らす。

見上げると、赤を身に纏う少年と、鎧で全身を包んだ人がこちらを見下ろしていた。





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あきゅろす。
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