大空と錬金術師
謝罪
「……兄さん?」
急に黙りこんだ兄にアルは声をかける。その声にエドは肩を揺らした。
「どうかした?」
アルの言葉にエドは何でもないと返す。アルはそれ以上追求しなかった。
「……アル」
エドはアルの方を向く。
「……ツナが言いたくないなら、それでいいよな……」
唐突なエドの言葉にアルは一瞬驚いたような反応をするが、すぐに頷いた。
汽車はしばらく揺れ、そして東の都市へ辿り着いた。
テロリスト達を見張っていたエドとアルは、イーストシティの軍人達にテロリストを引き渡すと、ツナが眠っている連絡室へ向かった。
「ツナ、起きろ」
エドはツナに被せていた毛布を剥いだ後、屈んでツナを揺する。
この汽車はイーストシティが終点であり、これ以上は進まない。疲れているところ悪いが起きて貰わなければ困る。
少しするとツナは気だるげな呻き声を上げ、うっすらと眼を開けた。
「イーストシティに着いたぞ、ツナ。」
エドが声をかけると、ツナは眼を擦ってから二人を見上げた。
「ほら、これツナの荷物」
アルがツナの膝に鞄を置いた。ツナは寝起きの舌足らずな声で礼を言う。
「あのさ、ツナ」
鞄の中身を確認しているツナにエドは声をかける。ツナは顔を上げ、エドを見た。
「色々聞いて悪かった」
エドはそう言うと頭を下げた。アルもその言葉に合わせ、謝罪する。そんな二人にツナは驚いた顔をした。
「きっ気にしないで!!」
ツナは思わず大きな声を出す。
「俺だってエドとアルに同じ質問したし……二人の疑問は当然って言うか……気にしてないって言うか……ってかむしろ謝るべきは答えなかった俺だし……上手く言えないんだけど……その……」
ツナは焦ったように次々と言葉を紡ぐ。
そんなツナを見て、二人は吹き出した。楽しそうにクスクスと笑う二人にツナも笑顔になった。
「ありがとう」
ひとしきり笑った後、アルはツナに礼を言った。ツナは首を振るが、エドもツナにありがとうと言った。ツナは困ったように眉を下げる。それにもう一度兄弟で笑いながら、エドは背伸びをした。
「やっと着いたことだし……降りるとするか」
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