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大空と錬金術師
異世界

最後に1つだけ……と再び口を開いた。

「…………『ボンゴレ』」

少女は首をかしげた。

「アサリ貝?」

ツナは少女に曖昧に頷いた。

(……何聞いてるんだろ)

たとえここにボンゴレがあったとしても、こんな幼い子がその名を知るはずがないのに。

ツナは少女にお礼を言うと、そのまま一般車両にいるハクロ将軍夫婦の元へと送り届けた。別れ際に愛らしく手を振られ、ツナは笑顔で振り返す。

そんな間も、ツナの頭の中は混乱の大洪水だった。

(……これではっきりした……ここは……ここは俺の知る地球〈セカイ〉じゃない……)

それは、信じたくない現実。

車両と車両の間の連絡室まで出ると、全身から力が抜けてしまった。壁にもたれかかり、体重を預ける。

「未来の後はとうとう異世界にまで来ちゃったのか……」

ツナはどこか自嘲気味に、小さく呟いた。

毎日みんなで楽しく笑っていたい。そんな些細な願いさえ、自分は叶えることが出来ないのか。

途方もない疲労感に襲われた。ツナはズルズルと壁伝いに床に座り込むとゆっくり目をつむった。



「アル……」

やるべき事を終えたエドがアルの元へ戻ってきた。アルはテロリスト達の見張りを行っていた。

「ツナいた?」

エドは頷く。気付いたらどこかにいなくなっていたため、乗客に安全を伝えるついでにエドはツナを探しに行っていた。

「連絡室の隅で寝てた。下手に動かして起こすのも悪いし毛布だけ掛けて置いてきたよ。」

「連絡室で寝てたの!?」

寝る場所じゃないよね!?アルは困惑したような声を上げる。

「疲れたんだろな」

エドも苦笑いで応える。

「踏み込んだこと聞いちゃったし謝りたかったんだけどなあ……」

まあ今は仕方ないよね、とアルは明るく言った。エドは頷きながら少し遠い目をする。



『お願いがあるんだけど……今から言う単語の中に知ってる言葉があったら教えて欲しいんだ』


エドは脳内で先程のツナの言葉を反芻した。

本当はツナを見つけたのは一等車両でだった。しかし何やらハクロ将軍の娘と話をしているようで非常に出ていき辛い。テロリストを捕まえた直後の事で気まずいというのもあった。

しかし行かなければ先程のことを謝れない。

そう思ったエドは、ツナの元へ行くタイミングを見計らうため物陰に隠れ会話に耳を傾けていた。

その時に聞こえてきた会話

それは不可思議な単語の羅列だった。





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あきゅろす。
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