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大空と錬金術師
亀裂

「……え?」

ツナはへたり込んだままエドを見上げた。そこには、初めに会ったときのように怪訝そうな表情をしたエドが立っていた。

「ツナのその力……錬金術じゃないよな……?」

エドは自分を見返してくるツナにそう続ける。

(……よかった、エドもアルも怪我無さそう……)

一方ツナはぼんやり頭の端でそんなことを考えながら、エドに投げ掛けられた質問を反芻する。そして、瞬時に顔を青くした。

(って……これ何て答えれば良いんだーーー!!)

マフィアのボス候補……?いやいやいや、俺マフィアになる気ねーし!!

錬金術があるため、死ぬ気の炎を使っても大丈夫だろうと思い、油断していた。何か言われても錬金術だと誤魔化せば良いと安直にも考えていた。

「えっと……」何と答えれば良いのか分からず、口ごもる。

「これは……何て言うか……」

おどおどと言葉を紡ごうとしては切るツナに、エドは再び口を開いた。

「じゃあ……『賢者の石』って知ってるか?」

あり得ない、とエドの中で否定されたものの、一番近い可能性。わずかな可能性に賭け、エドはツナの顔色見つめていた。

「賢者の石……?」

ツナは純粋な気持ちで首を傾げた。

(なんか……昔そんなサブタイトルの映画あったような……?)

記憶の底から手繰り寄せようとするが、全く出てこない。無い脳みそを集めて思い出そうと唸っていると、エドから「分からないなら大丈夫」と言われた。何が大丈夫なのかはわからないが、取りあえず頷いておく。


(演技してる素振りはねーし……シロだな。)

そうなると本当に、あの力は何なのか……

三人の周りに沈黙が訪れる。

「取りあえず、後始末だけしちゃわない?」

結局アルのその言葉により、何一つ解決もしないまま、三人はハクロ将軍の治療や、軍への通信報告等を行っていた。





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