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大空と錬金術師
VSテロリスト

アルは二つ前の車両に着くと唖然とした。そこには、気を失い縛り上げられたテロリストが二人転がっていた。二人とも目立った外傷はなく、一瞬で落とされたのだということが伺える。

(……まさか……ツナ?)

そう思ったが、すぐにアルは首を振った。

(ツナじゃない。だってツナの体は鍛えてきたそれじゃないし……一瞬で落とすなんて戦い慣れてなきゃ無理だ……)

誰か自分達の他にも手練れがいたのだろうと無理矢理結論付けてアルは次の車両へと走り出した。

アルの最初の過程は間違ってはいなかった。テロリストを気絶させたのは、ツナだった。ただし、死ぬ気の炎で筋力を補える『超死ぬ気』の状態ではあったが。



一方エドは機関室を奪還していた。

「なんか手伝うことあるかー?」

「安全運転よろしく!」

テロリストを捕まえる際に協力し合った機関士の二人と別れ、外側から炭水車に登っていく。

「いたぜハツカネズミちゃん」

炭水車に登りきった時、そんな声が聞こえたと思ったら天井窓からテロリストに銃で乱れ撃ちされた。

「あっ…ぶねーなこの野郎!!」

エドは青筋を浮かべて怒鳴りながら、炭水車の鉄を利用して大砲を錬成する。的をわざとずらして砲弾を撃ち込むと、テロリストは慌てて車内へ降りていく。

「こりゃあ!!汽車の命の炭水車になんて事を!!」

機関士のおじさんが機関室から怒鳴り声を上げた。それに謝罪してから、エドはふと何かを思い付いたように炭水車を叩いた。



ツナはテロリスト二人を倒した後、一等車の人質を解放すべく、列車の真横を炎で飛んでいた。

(あそこか……)

4つの人影のある窓を発見すると、中から見えないよう低空飛行で窓の下に近付く。列車の壁にピタリと寄り添うと、中の声を拾おうと耳を澄ませた。中は混乱と焦りで騒然としていた。罵声や怒声が飛び交い、時折何かを叩き付けるような金属音も聞こえてくる。

(エドとアル、うまくやってるみたいだな…)

わざわざでしゃばる必要無かったかと思いつつ、いつでも飛び出せるよう隙をうかがう。

突然、聞き覚えのある、弾けるような音がした。

『あーーあーー犯行グループの皆さん。』

エドの声の放送が車内に響き渡る。

『機関室および後部車両は我々が奪還いたしました。残るはこの車両のみとなっております。大人しく人質を解放し、投降するならよし。さもなくば強制排除させていただきますが…』





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あきゅろす。
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