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And you and mine/仁王










ふとした瞬間に感じる、





君が側にいるというしあわせ…―

















**And you and mine***









「優雨、おはようさん」


「あ、仁王くん。お、おはよ」




仁王くんと付き合ってまだ3日目の朝、




いつものように学校へ向かっていると不意に後から声をかけられ振り向くと、そこにいたのは仁王くんで、



なんだか少しぎこちなく挨拶…



なんで“ぎこちなく”って?



そりゃまぁ、それは緊張してるからで…


彼女いない歴=歳。


な私に、テニスがうまくて顔もよくて性格も多少捻くれてるけど何気に優しいし…なんていいトコばかりの彼氏ができるだなんて、地球が真っ二つに割れるくらいの勢いで有り得ないことで…。



しかも彼氏どころか男の子にも免疫がない私が緊張しない方がおかしい…、





「優雨」


『へ?!なっ…なに?!』


なーんて考えていると仁王くんがつんつん、と肩をつついてきて



そして優しく笑うと手を差し出してきた


『……えっと…』



こういう場合どうしたら良いのだろうか…。


あれ、これってあれだよね…


手を繋ごう、って意味だよね?!握手しよう、って意味じゃないよね?!




いきなり手を差し出され、ひたすらあたふたしていると仁王くんはぶっ、っと吹き出して笑った



「こういう時は優雨の方から恋人繋ぎしてくれれば嬉しいんじゃがのぅ」


『こっ…』


顔を赤くしながら困っていると仁王くんはまた可笑しそうに笑う



「ははっ、冗談じゃよ。ホレ」


そう言ってスッ、と手を伸ばしてくると指を絡めて手を繋ぐ


う、嬉しいような恥ずかしいような…


なんか複雑…




…それに、なんだか仁王くんは女の子の扱いが慣れてる気がして


少し悔しい…




「どうかしたんか?」


『へ?!な、何が?』


「眉間、皺がよっとるぜよ」


『仁王くんはさ…』


「ん?なんじゃ」


『仁王くんはどうして私なんかを好きっていったの?』


これは素直な疑問、
仁王くんほどモテてればもっと可愛い子とかいたんじゃないのかな、って思う


「"好き"に理由なんかいらんじゃろ?俺は優雨に惚れた、それだけのことじゃき」


『う…そう直球で言われるとなー』


むず痒いと言うかなんというか…





「……実際は俺にもよくわからん」


『へ??』


「それ程他人に興味なんか持つタイプやないのにな…優雨だけは別みたいじゃ」


『私には興味持ってくれたって、自惚れてもいいってこと…?』


「自惚れるも何も、実際興味を持たんかったらこんなにお前さんの事一日中考えとらんよ」


そう言って仁王くんは照れ臭そうに笑う


「…俺が女取っ替え引っ替えしてたんは事実じゃ…。けど俺は優雨を傷つける事は絶対せん」




そう言って、そうぎゅうっと握っている手を強めてくれるのが嬉しくて、



さっきまで不安だった気持ちはどこへやら…―





『……うん、ありがとう。にお…』


残りの"うくん"を言う前に、いきなり仁王くんの顔が近づいてきて軽く唇が重なった


「"雅治"じゃろ??」


『な…な…?!』


「キスぐらいええじゃろ、恋人同士なんじゃし」


『よっ…よくない!!外だよここ!!』


「細かいことは気にすんなって。で、名前は??」


『……』


「もれなくならキス、もう一回じゃけど」


『わゎっ!!わかったから!!ま、雅治…!!』


顔をゆっくり近づけてくるもんだから、慌ててにお……雅治の名前を呼ぶと


当の本人は至極満足そうな表情をして、頭をわしゃわしゃと撫で回される


「ん、よくできました」










そう言いながら笑った顔にまたときめいた私は当分、雅治には敵わないと思しみじみ思った。












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(繋いだ手から伝わる君の温もりに…―)

(幸せを感じずにはいられないんだ)




---end---




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あきゅろす。
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