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▽melt/幸村










あたしの気持ちごと、



溶けてしまうぐらいのあつい愛をちょうだい…―






***melt***


















「あっつー…」





真夏の昼の学校ほど


暑いものがこの世にあるのか?なんて自問自答をしてしてしまうほど暑かった…




「あ、ちょっと優雨、女の子なんだからそんな脚開かない!」





あたしの友達、通称オカンこと愛は机にぐったりなっているあたしに対して涼しげに注意をした



同じ空間にいるのになんでこんなに涼しげなんだろ…



「あい…なんでそんな涼しそうなのさ…?」


「暑いわよ、私だって。……とゆーか脚」


「むー」





なんて、いつものようにうだうだしていると不意に後ろから声がかかる



「もう少し女の子らしくしたらどう?優雨」



「…?」



聞き覚えのある声だと思い恐る恐る後ろを振り向くと



「げ…幸村」



大っ嫌いな幸村がたっていた





「"げ…"って酷いなまるで俺が嫌みたいな言い方、よくないよ?」


「“嫌みたい”じゃなくて嫌なの!!」





そう、あたしは



幸村が嫌い。



なにかと言って突っ掛かってくるし絡んでくるし…



しかもこの人はほんっっと腹黒い。




なんか嫌いっていうか…苦手と言った方が妥当だ…







「ふうん?そんなこと言うんだ」


「いっ…?!痛っっ!!痛いって放せー!」


ニコニコと笑いながらあたしの腕を折れるんじゃないのかってくらい強く握ってきた


「痛いってー!!バカ」


「優雨にバカは言われたくないよ」


「なんですとー!!」




ぎゃあぎゃあと騒いでるあたしと幸村(主に騒いでるのはあたし)を見て相変わらず愛は涼しげに横目でみていた





「まったく…仲がいいよね二人とも」


「ふふ、それほどでも」


「どこがだー!!」





-キーンコーン-




なんて、やっているうちに昼休み終了のチャイムがなった



幸村はそそくさと自分の席に戻りあたしは再びぐったりと机に伏せた




…―まったく、幸村のせいで余計暑くなった…。



右斜め前の席の幸村を睨んでやると


幸村はいきなりあたしの方に視線を向けた




「っ…!!」



まさか目が合うとは思わなかったから驚いて目を逸らしてしまう



なんだかあれだよね…


幸村は顔は無駄にいいから、顔だけね、


変にドキドキするんだよな…



なんてしばらく考え込みつつ半ばボーとして5時間目が終わった








「ふぅ、やっと授業終了!ねぇ、愛!これからカラオケ行こうよ!」



今日はなんと職員会議という素敵なものがあって、いつもは6時間なところ今日は5時間…!



これはもう遊ぶしかないっ!と浮かれながら愛を誘っていると





「今日、クラス委員の仕事でしょ優雨は」


「………ぁ」



いつの間にかあたしの席の前に来ていた幸村がまた嫌なことに親切に教えてくれた





「忘れてたでしょ」


「すっかり…」


「それじゃ残念ね優雨、また今度」


「うぅ…」




もう心の底から委員を呪ってやる…












帰りのHRが終わりトイレに行ってから、教室に入ると幸村一人が中に残っていた、


「ん?あぁ何だ。優雨か」


「…??幸村、何してるの?部活は?」


疑問に思った事をそのまま言うと幸村は少し呆れ気味に言う



「俺も委員だろ?一緒の委員の人くらい覚えておきなよ」


いや…、覚えておきなよって…


あー…



なんであたしこの委員やってしまったんだろ…




激しく後悔






「なんでよりによって幸村なんだ…」


「失礼だな優雨は」


いいから早く仕事、と幸村は自分が座っている席の隣の椅子を引く







「うー…幸村なら一人で終われそうじゃん!ならあたしはいらないよね!」



じゃ!と教室を逃げるように出ようとすると幸村はガシッとあたしの二の腕をすかさず掴む






「いっ…?!」


「俺に仕事押し付けて帰る気?いい度胸だね優雨」


「いたたたたっ…じょ、冗談状態だって!」


「ならいいんだよ」


と幸村はニコニコ笑いながらぱっと手を放す


「…もー、いったいなぁ。一応さあたしも女の子なんですけどー?手加減しようよ」



なんて憎まれ口をただきながら渋々椅子に座る






「なら、優雨ももう少し女の子らしくしなよ」



「ほっといてよ!幸村もいちいちあたしに突っ掛かってくるのやめなよ」


「突っ掛かってるつもりなんかないよ?俺」


「明らかに突っ掛かってます」

「からかってるだけで」


「もっと悪い!!あたしじゃなくて他の子からかえばいいじゃん!幸村なら女の子は誰でも相手してくれるよ」


「…………」


(…え、)




いつものように言って返してやったら幸村はいきなりの無言…


な、なんだこの空気…







「あ、あの…幸「本気で言ってるのそれ」



なんだかあたしは地雷を踏んでしまったらしく隣からは黒々しいオーラが痛いほど感じた




「ゆ、幸む…―っ」


とりあえず謝っておこうと隣をみるといきなり後頭部を手で押さえられたと思っ
たら幸村の顔のドアップが…っ



「んっ…ちょ…、ゆき…っ…―」


「………」



息ができなくて、酸素を求めて唇を開くと、空気の変わりに幸村の舌が入ってき



「む……っん…―」

「……はっ…」




苦しい、と幸村の胸を押すとようやく唇を離した




「はぁっ……な、なに、すんの」


息絶え絶えで呼吸を整えながら反論をすると幸村はしれっとした顔をしながらあたしの頬に手をそえる




「ほんと、優雨は鈍いよね。俺なりにわかりやすく接してるつもりなんだけど」


「…………は?」



幸村の言っていることがよくわからなくて目を丸くして我ながらマヌケな声が出してしまうと、幸村は、はぁ、と深いため息をつく




「ほんっとに鈍感」


「だから何のこ…っ?!」


と、と最後まで言葉を発する前に、チュッと音をたてて一瞬唇が重なる


「俺は優雨が好きだから、優雨だけしかからかわないよ」


「……ぇ」


「返事は?」


「そ…その…っ」




あまりにも突然なことに顔を真っ赤にしてうろたえてしまう、


「まぁ、最初から優雨に拒否権なんてないけどね」


「え、ちょ、あ、あたしの意見は聞いてくれないのか!?」


「聞いてはあげるけど?」



言えるものならね、と幸村は余裕の笑みを浮かべた















「その気じゃないなら…俺が、その気にさせてあげるよ」











そんな笑顔と言葉に、不意にもドキリとしてしまったあたしの負けなんだ…








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