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▽キミと夏〜亜久津の場合〜






暑い暑い夏、



でもなにより、



あたしの体温をあげているのは…―



いつもいつも君なんだ―…






***キミ夏***〜亜久津の場合〜











「うっわ〜!!海だー!」


「………お前はガキか、海ごときに…」



なんて久々の海を見て大はしゃぎなあたしをみてそっけなく亜久津先輩は言う





そりゃあ、はしゃぎたくもなる…


遡ることちょうど1週間前、


いつもは手だって繋ぐのを嫌がる亜久津先輩が




珍しく「お前の行きてぇとこに連れていってやる」


なんて突然言ってくれた、



まぁ、多少言い方は乱暴だけど、そこがなんだか亜久津先輩らしいなぁなんて思う





好きな彼氏からのお誘いは、やっぱり嬉しい…。






「………なに、ニヤニヤしてやがる」



「べつにーっ!何でもないですよ。それより、せっかく海に来たんだし泳ぎましょうよ!」



「フン、…お前はホントにガキか」


亜久津先輩もなんだかんだで楽しそうに笑うから、あたしもつられて笑ってしまう


「ガキいいですよーだ!!ほらっ先輩!行きましょう?」


「あぁ」




とりあえず水着に着替えて、あらかじめ待ち合わせと約束していた海の家の前まで小走りで向かう




「お、お待たせしました」


「あぁ…」



ちらりとあたしの方をみてそう言って阿久津先輩はそっぽを向いてしまう




あ、あれ…?この水着、変だったかな



なんて自分の格好を再確認する



(うーん……変?かなぁ…)



あんまり露出しすぎるときてるこっちもなんだか照れ臭いからセパレートタイプにしたんだけど………





じっと考えこんで、はと我に返り亜久津先輩の方を見てみると


「あ…しまった」



見失った…




夏休み真っ只中ということもあって、人混みで溢れていて亜久津先輩の姿を完全に見失ってしまった



え…あたし、この歳にして迷子ですか?!?!




なんとしても迷子センターは避けたくて、挙動不審にキョロキョロしていると



不意に後ろから声がかかった






「ねぇ、そこの姉ちゃん。一人で何してんの?もしかしてナンパ待ち?」




「は?」



声のする方を見て思わず眉間に皺を寄せてしまう



「暇なら俺と遊ぼーよ」


「け…結構です。あたし、忙しいんで。」



失礼しますと言って背をむけ歩きだそうとすると、がしりと腕を掴まれた




「なっ…?!離してください!!」


「冷たいねぇ、そんな怒らなくても…「何してやがるんだテメェ」



その男の人の声と重なったのはいつもの倍不機嫌そうな亜久津先輩の声




「な、なんだよあんた」


「人の女に手ぇだすなんていい度胸じゃねぇか、あぁ?」


「…っ、男連れかよ」



亜久津先輩が眼をつけると男の人は怯んだ様子で逃げるようにその場をさった


「あ、ありがとうございます…」

「………」


「あの…?」



男が去った後しばらく黙り込んでしまったので不安になって声をかけようとすると


「ちっ…、ちょっと来い」


「わっ…!」



苛立った様子で舌打ちをし、いきなり腕を引っ張られてそのまま歩きだす





少し足取りが速くて何回も躓いてしまいそうになる




あたしもなるべく足を速めて亜久津先輩を見た



ここからじゃ表情が見えないけど、なんだか怒っているみたいで少し怖い




砂浜をしばらく歩いて人が少ないところに来て大きな岩のある死角になっているとこにあたしを押し込む



「あ…あくつせんぱ……っん!?」


そして痛いくらいに肩をつかまれたかと思うといきなり唇を強く押し付けてきた


あまりにいきなりの事で身を引こうとすると後頭部を押さえられそれを許さない



「ん……ふ…っ」


息が苦して酸素を求めるように口を開けると亜久津先輩の舌が入りこんできた




「っ…んん…」


舌を絡められ頭が真っ白になる


頭がぼんやりとしてきたとこで唇が名残惜しそうに離れていった



「はぁ…はぁ…あ、亜久津先輩…?」


乱れた息を整えながら先輩の名前を呼ぶと亜久津先輩ははぁ、と苛立ちの溜め息をこぼす


「テメェ…ボケッとしてんじゃねぇ。迷子って…ホントにガキか」


「う…っ、ごめんなさい」



あ、…呆れられちゃってる…のかな、…?


なんて思いつつ俯きながら謝ると亜久津先輩は乱暴に、でもどこか優しく頭を撫で、あたしの耳元に顔を近づけ



「……テメェは俺の女だろうが…勝手に他の野郎に触らせてるんじゃねぇ」


と静かに言った



「―……ぇ?」




あまりにも予想外な言葉に間抜けな声をだしてしまう



「も、もしかして」



(…―妬いてくれてる?)



怒られているのに失礼だけど、不覚にも顔がニヤけてしまう



「…おい、反省してんのか」


「へへ、すみません。つい



なんて、平謝りしても顔のニヤけが止まらず…



そんなあたしを亜久津先輩は無造作に抱きしめた



格好が水着ともあって、素肌が直接触れてなんだかドキドキする…



「いいか、誰にも触らせんじゃねぇ。お前は俺の女だ」




なんてぶっきらぼうな言葉に顔をほてらせ、静かに頷く




「はい………



大好きです。先輩」









…―ほら、ね。キミと過ごす夏は、




特別暑い気がするの









(おまけ♪)



「あの・・・・先輩?」

「あぁ?」

「この水着似合いませんか?」


「…んだよ突然」

「だって…あまりにも無反応なんで」

「・・・・別に、嫌いじゃねぇ、」

「え…?」

「嫌いじゃねぇっつってんだ、何度も言わすな!」









---(ツンデレーション亜久津エンド((笑






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あきゅろす。
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