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▽bitterValentine Day/不二（２話完結前編）
これは２話完結の中編です(^^)最初は切夢なんでご注意！それでもおKなかたはどーぞ！
“君が好き”
その言葉を言いたい、
言われたい…―
あたしはいつからそんなに欲張りになってたんだろう…?
**bitterValentine Day**
「ねぇ、本命チョコ渡すの〜?」
「誰に渡すか決まったぁ〜?」
２月１４日
この日の学校は全体的にピンク一色だなぁ、
とつくづく思う。
「おっはよ〜!優雨!」
さり気なく周りの女子の会話に耳を傾けていると後ろから幼馴染みの愛が声をかけてきた
「おはよう、愛。……ん?あれ、その袋」
「へ?」
あたしが視線を向けた先にはあいが手に持っているラッピングの袋…
「ああ、これね」
「え!それってチョコレートだよね?!もしかして…」
「もっちろん!本命だよ」
「えぇ!誰?!誰に渡すの?!」
「へへっ、内緒」
「もう、なによそれ…」
拗ねたようにそう言うと愛は苦笑する
「冗談よ、冗談!テニス部のね…菊丸くんに渡すの」
「え!愛、菊丸くんのこと好きだったの?!」
「うん、…まぁ」
そうあいは照れくさそうに笑った
乙女だなぁなんて呑気に思ってしまう
「初耳…」
「そりゃ初めて言うし…、それより!優雨はどうなのよ!!」
「どうって…?」
「不二くんにチョコ、ちゃんと持って来たんでしょ?」
そう言ってあたしの手提げ袋を指差した
中には丁寧にラッピングされた小さい箱、
同じクラスの不二宛てのチョコレート…、
何度も何度も告白を考えたんだけどやっぱり言えなくて…
だから今日こそは、と気合いを入れて作ったってわけ
なんだかんだ言ってあたしもこのピンク一色に染まっているなぁ…〜
「う……まぁ、そのうち、渡すよ。」
「そのうちっていつよ!あのねぇ…バレンタインは今日しかないんだからね!」
「わかってるよ……」
「それに今日不二くんに告白しようとしてる子なんて山程いるんだから!早く告白しないと誰かにとられちゃうよ?!」
「う…」
その言葉がぐさりと刺さる
不二は、
顔もよければ、性格もよくて…スポーツ万能な上に成績優秀
周りの女子がほっとくわけがない…
だから、今日だってたくさんの女子から告白をうけるんだろうなぁ…
「そんなしょぼけた顔してないで!!お互い頑張ろうよ!ね?」
「う…うん」
学校の中に入ると校内はいつもより騒がしかった
(うわぁ〜〜…)
リョーマく〜ん!!
とか、
手塚先輩〜!
とか、
主にテニス部員の名前が響いていた
その中にはやっぱり
「不二くん〜!」
彼の名前も聞こえた。
…てゆーか今からあの中に混ざってあたしはチョコを渡さなきゃいけないのか…?!
いやいや、急がば回れってね。
なんて、言い訳をしながらあたしは教室に向かった
「ふぅ…」
席に座って本日２回目のため息をつく…
(これ…いつ渡そうかな…)
今日なんてきっとずっと不二はチョコを渡されたりで忙しそうだし…渡す機会があるのかな…
「優雨、おはよ。」
「ん?わっ!不二!!」
思いに更けていると目の前にひょい、と不二が現れた
「クス、ひどい反応だなぁ。…優雨」
「なに?」
「あんまり眉間に皺寄せてると元に戻らなくなるよ?」
「〜〜〜〜〜!!ほっとけ〜〜!」
あぁもう、なんでこの人はあたしの事からかって楽しむかなぁ…
そう思いながら少し睨んでやるけどおかしそうに不二が笑う顔を見ているとなんだかこっちもつられて口元が緩む
「そう言えば不二、今朝はモテモテだったねぇー」
不二の机の上にある荷物を横目で見ながら何気なく言ってみる
「そうかな?」
「またまた〜、チョコたくさんじゃん………あのさ…」
「え?」
-キーンコーンカーンコーン-
「あ、チャイム。ほら不二!早く席につかないとおこられるよ!」
「でも優雨、今なんか言いかけてなかった?」
「なんでもないよ!大したことじゃないから気にしないでっ!」
「??うん」
今なら渡すチャンスかも、なんて思って切り出そうとするもあえなく失敗…、
何してんだあたし…
チラリと不二の方を見てみると思いっきり目があってしまい咄嗟にそらしてしまう
あたしはいつもそうだ…
好き…なのに
素直になれなくて、
いつも片思いで終わってしまう…
でも、今回こそは…ちゃんと伝えるんだ。
“好きだよ”って…
ちゃんと言うんだー…
て心に決めたものの、
相変わらず不二周助という人間はモテモテでいやがって…(ムカつくくらい)
渡すチャンスなんてちっともないんじゃんか…
なんだかんだでもう放課後になっちゃってるし…
「何してんの優雨!!」
「うわっ!愛!」
皆帰った後の教室でぼーっとしているといきなりドアがいきなり勢いよく開かれた
「あんた!不二くんにチョコ渡してないんだって?!」
「う…うん。てゆーかなんで愛知ってるの?」
「早く渡してきなさい!不二くん部活終わっちゃうでしょ?」
「(あたしの質問はとりあえず無視なのか…)でも…」
「でもじゃない!!今日気持ちを伝えるって決めたんでしょ?!」
「う、うん…」
「ほらっさっさと行くっ!」
あいに促され戸惑い半分でテニスコートの近くまで走った
「…なんだ不二くんが」
「え…?」
校舎の陰になっているところから会話が聞こえる
なんだか嫌な予感たっぷりで聞き耳をたててみた
「わたし…不二くんが好き…よかったら、これ」
そしてそっと覗いてみると、不二と確か隣りのクラスの可愛いと評判の女子
(また…ダメだったな)
あたしは今にも零れそうな涙を我慢して下唇をかみ締めた
そしてポケットにチョコレートと、それと同時に渡すはずだった言葉をしまった
苦い苦い…ー
バレンタインデーの話
『→sweet WhitDayに続く』
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