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▽NoColorWords/忍足



飾った言葉なんていらない…―





好きの気持ちそれだけでいいんだ…











***NoColorWords***








まだ少し肌寒い朝



あたしはボケッとしながら歩いていると不意に後ろから声をかけられる





「優雨、おはようさん」


「ん?あ、忍足。おはよ〜」


ふわぁ、と欠伸をしながら挨拶をする


「大きい欠伸やな」


「……いいでしょ別に!!」


「優雨は一応女の子なんやからもう少し女の子っぽくせなあかんで」


「一応ってなによ、大きなお世話だし」



あたしがそう反論すると忍足はくく、とおかしそうに笑う


この人は…


朝から人のことからかって遊んでるよ…





「あ、ねぇあれ忍足くんだよ」


「やっぱかっこいいな……ってゆうか隣りのあの子だれ?彼女かなぁ?」


「まっさか!あんな子供っぽい子なんて忍足くんが相手するわけないじゃん」



何気なく一緒に並んで歩いていると近くにいた女子たちが聞こえてないと思っているのかひそひそと話していた



……あの、丸聞こえなんですけど…




まぁ…忍足は地味にモテる、一緒に歩いてるだけで周りの女子からの目が怖い




「あのさ、忍足」


「なんや」


「なんで一緒に歩くのかな」




「なんで一緒に歩いたらあかんねん」



「周りの女子たちにめちゃくちゃ僻まれるからです!!それじゃそう言うことで先行くね!」



そう言い残しダッシュして学校に向かおうとするとすかさず忍足はあたしの襟首を掴む



「ぎゃっ…!な、なに?!」


「別に他のやつなんて放っておいたらええやんか」


「放っておいた場合被害があたしにくるんだけど」


「俺が守ってやるさかい、安心せぇ」


「なによそれ…」




小さくため息をつくと忍足は、ほな少し急ぐで、と言って少し足を早めた






忍足は…―



よくわからない…




朝から帰りまで絡んできて…今みたいな言葉でいちいちあたしをどぎまぎさせる




どうせ忍足はからかって言ってるだけなんだろうけど…、




そんなこと言われると


いちいち期待しちゃう…―





だから、あたしは…


忍足がキライ、






「優雨?どないしてん」


「なんでもないよ!!ホラっ!行こう!」



あたしは遅れをとってた分の距離を少し走って忍足の隣りに並んで歩いた







学校について

飲み物を買いに行くから先に教室行っててと忍足に言い残し自動販売機にのあるとこに向かう



「おい、黒沢」


「へ?なんですか先生」


「何ですかじゃないだろ、お前昨日、日直なのに日誌書かなかっただろう。今日の帰り残って書けよ」


「え〜…」


「“え〜”じゃない」







あぁ〜…最悪だ



今日は早く帰りたかったのに……



内心先生を恨めしく思いつつ仕方ないとひっそりとため息をついて教室に戻った









「ん?優雨どこまで飲み物買いに行ってたん」


「自販機!先生に呼び止められちゃったんだよ」


「また日直でもサボったんか」


「またって言うな〜、別にサボったわけじゃないもん忘れてただけだもん」


「結果同じやないかい!!」



べし、と額を叩かれる



「いたっ、つっこむな!!この関西人!」


「酷い言い方やんな」



なんて言いつつも楽しそうな顔をしている忍足に無意識に顔が緩む





あたしは…忍足がキライなはずなのに、




忍足の笑顔をみていたいだなんて矛盾してるなぁって心底思う





そう思っていてもあたしは…やっぱり忍足の側にいたいんだ












一日の授業も終わってあたしは皆帰ったなか、教室で1人仕方なく日誌を書いていた



チラッと窓の外を見ているとちょうど男子テニス部が練習をしているのが見える



(うわぁ、応援の女の子集団すごっ…)


フェンス越しにたくさんの女子たちを見てなんだか胸が苦しくなる





「あぁ〜〜!もうっ!なんなんだこれっ!なんだかもやもやする!!」



窓から目を背けて机に俯せた




―…こんなモヤモヤした気持ちも、



あたしが忍足のこと…“好き”って気持ちも



全部忍足に伝えれたらいいのに





なんだか涙ぐんできた目を閉じてそう思っていくうちに


なんだか意識が遠のいた











(…―ん?)




唇になにか触れている感触でふいに目が覚めた



ゆっくり重たい瞼をあけるとそこには……顔?と眼鏡……




「んっ?!?!」


咄嗟のことでしばらく思考が止まってしまった



反射的に忍足の胸を押し返す




「あ…起きてたん?」


「なななな…なに?!」


「起きた第一声がそれって…。優雨はとりあえず落ち着き」



「落ち着けって!お、忍足が言う台詞?!…てかなんで…」


え?!なんで!!どうして?!



どうして…忍足があたしに…キス…




「なんでって…理由、わからへんの?」


「わ、わからないよ!」


わかるはずがない、そんな理由…


あたしがそう言うと忍足は小さくため息をつく


「はぁ、俺なりに分かりやすく接してるつもりやねんけどなぁ、優雨はなんでこう鈍感なん?」


「…はぁ?!」


未だ全くもって意味がわからない、
首を傾げていると腕を引っ張られ椅子から落ちそうなとこを忍足に抱き締められた



「……そんなん、優雨が好きやからに決まっとるやろ」


「………へ?」



ぽかんとしていると忍足はがっくりと肩をおとした


「せっかく人が告白しとるっちゅーにその反応はないやろ、ま、返事は一つしか聞かへんけど。一応聞いたる」


「え?!ちょっ…ちょっと…待ってよ…―ん!」


慌ててとりあえず距離をとろうと試みるも逆にギュッと抱き締められキスをされ


「……返事は?」


そう耳で囁かれた


「……………好き…だけど」


「けど?」


「あたし、童顔だし背も小さいし、スタイルもよくないよ?」


「俺は優雨自身が好きやねん、顔も見た目も、性格も、全部」


「……それにあたし……すぐヤキモチやくし」


「好きな子にされるんは大歓迎やで。それに、されるんは俺ばっかりやないで?」


「え〜、忍足がヤキモチ〜?」


なんか恐ろしいわ、


そう言うと忍足はまた優しい顔で笑う



「恐ろしくても構へん。もう離してやらへんから覚悟せぇよ」











飾った言葉なんかじゃなくて、あなたから伝わる温もりと好きの気持ち、




それだけでこんなにも幸せになれるんだ…―









---END---






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