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▽ダイスキの言葉/日吉




あなたの事が大好きなはずなのに…―




どうしても好きを言葉にできないの…






***ダイスキの言葉***












「ヒヨ〜!おはよっ」


「あぁ、おはよう」




少し寒い朝方、


あたしはいつも通り学校へ行く途中にヒヨを見つけるとヒヨのもとへ駆け寄っていった






あたしとヒヨは小、中学校一緒で幼馴染みと言っても過言じゃないくらいの仲


「う〜…今日も寒いね〜」


「そうだな」


「もうすぐ冬かぁ…嫌だなぁ。寒くて朝起きられなくなるよ」


「お前はいつも起きれてないだろう、」


「う…」



「現に今日だって俺がメールしてなかったらいつまでも寝てただろ」


「ひ…ヒヨがメールしてくれた時には、ちゃんと起きてたもん」



なんだか言われっぱなしも悔しいから言い返してやる



……いや、ヒヨのいってることは図星なんだけど…







「時間に余裕があった割には寝癖がついてるんだな」


「………たまたま!!!」



なんて他愛のない会話をしながらいつもみたいに学校へと向かった


その途中…


「ひ、日吉くん…!おはよう」


顔を少し赤らめながらヒヨに挨拶をしてきた子


あれは確か…テニス部ファンの1人の子だったかな…?





「…あぁ、おはよう」


その女の子は小さく手を振ると急ぎ足であたしたちを追い越して行った


「…今の、ヒヨの友達?」


「友達って程の関係じゃないな。最近よく話しかけられるだけだ」


「……」


「なんだよ?」


「別に…なんでもないっ」




あたしは素っ気なくそう言うと少し足を早めた



……あの子がヒヨを見る時の目が、あたしがヒヨを見る時の目と同じだったから…



なんとなくわかった


(あの子もきっと、ヒヨが好きになったんだ…)



なんだかすごくもやもやする…


心臓がズキズキと痛むよ…


あたしは…


ずっと前からヒヨが好きで、

告白は何度も考えたんだけどでもやっぱり怖くて言えないから、あたしとヒヨはずっと友達のままだ




こんなにずっと一緒にいるのにあたしはヒヨに好きな人がいるかなんて知らない…


なんだかんだで肝心なことだけ全然しらないんだなぁ…









「それで今日はご機嫌ななめなのか」


「うん…」



頼るべきは親友だ。ということであたしは学校についてそうそう愛に相談をしてみた


「あたしってヒヨにとってずっと友達なのかな…」


「それは、優雨によってはどうにでもなることじゃないの?」


「…でも」


「あ〜〜〜!もうっ!恋は当たって砕けろだよ!傷つくの怖がってちゃなんにもかわらないでしょ?」


「うん…」


「今日の放課後にでも、日吉くんに、言ってみなよ」



「うん、ありがとう愛…あたし…頑張ってみる!」




あたしがそう言うと愛はよしよしと頭を撫でた








…今日こそは…ちゃんと伝えるんだ…


大好きだって、













放課後、部活を終えたあたしは大急ぎでテニスコートに向かった



「あれ…いないなぁ」


けどそこにはヒヨの姿はなくて、教室にもどったのかな、と思いあたしは教室に向かった


「わたし…日吉くんが好き」




教室のドアの前で聞こえた言葉は…


あたしが何年もヒヨに言えなかった言葉…

きっと朝にヒヨに手を振っていた子だろう


「わたしね、ずっと日吉くんが好きだったの」





その言葉を聞いた瞬間悔しくて悔しくて、唇を噛み締めた…




それは、あたしが…ヒヨに伝えたかった言葉だったのに…


ヒヨの返事なんて怖くて聞けなくてあたしは逃げるようにその場を去った








生徒玄関を飛出して少し立ち止まっていると後ろからヒヨの声がした



「おい、優雨」


「ヒヨ…」


「お前、俺のこと探してたんだってな、何かようだったか?」


「ううん、別にそんな大切な用じゃなかったから…」







だから気にしないで、なんてあたしは普通に振る舞っていたはずなのに、


あたしの目からは涙がポロポロと零れていた


「…?!」


「あ…あれ、」



……大切な用じゃないわけない、


あたしは…今まで黙ってきた大切な言葉をヒヨに言いたいのに…




「優雨…お前、どうかしたのか?」


「な…何でもないっ…よ。ごめっ…あたし、先…帰るね」

涙は自分じゃどうにも止めれそうもなく


あたしはヒヨに顔を背けてそう言って走り出そうとするとヒヨはあたしの手を咄嗟に掴んだ


「なっ…」


「そんな状態でこの俺が美優を1人にさせるわけないだろう・・・・なんで泣いてるんだよ」


「離してよ…」


「質問に答えろ」


掴んでいる手の力を強められなんだかわからないけど、ヒヨは怒ったような声をしていた





「ヒヨは…」


「?」


「ヒヨはあの子と付き合うの?」


「あの子?」


「さっき…ヒヨに告白してた子」


「見てたのか?」


「たまたまだよ…」


「そうか…」


「その言葉は…あたしがヒヨに言いたかった言葉なのに…」


「優雨…?」


「ヒヨにっ…大好きだってあたしが一番に言いたかったのに…、あ…あたしなんか、すごくっ…悔しかったの」


顔をグシャグシャにしながらそう言うとヒヨがあたしとの距離を縮めるとゆっくり顔を近付けてきて―…






そして次の瞬間にはあたしの視界にはヒヨの顔しか映らなくなって


唇に温かいものが触れた




「ぇ…?」


「お前は馬鹿か?順番なんていみないだろ。俺にとってほしいのはお前の言葉だけなんだよ」


「ひっ…ヒヨ?えっと…」


「俺も…お前が好きなんだよ、だから…俺の側にいろよ」


と言ったヒヨの顔は少し赤いようだった


あたしは予想外な言葉に嬉しさを隠せなくて…


いや…隠す必要もないけど



「うん…!」


「ま、お前に拒否権はないけどな」


「もぅ…ヒヨったら」


「ふん…それじゃ、帰るぞ」

ヒヨはあたしの手をさり気なく繋いできて


あたしはもちろんそれを握りかえした



「うん!」



今だったらはっきり言えるよ。


ずっとずっと大切にしてきた言葉―…






「ヒヨ、大好きだよ!」






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あきゅろす。
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