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▽a childhood friend/手塚


あたしには小さい頃から仲が良い幼馴染みがいる。


その人は近いようで遠い存在―…


そんな彼にあたしは惚れてしまったんだ…―





**a childhood friend**






「て〜づか!!」



「ん?黒沢か、どうだ部活の方は、流石に人数が多いと部を引っ張って行くのも大
変だろう」


「あたしはぼちぼちだよ、それに手塚だって部を引っ張って頑張ってるじゃん、テニス部はどうなの?なんだか強い一年が入ったって聞いたけど」


「あぁ、期待できそうだ」



手塚とあたしは部長同士って事もあっていろいろ話があう。

まぁ、あたしにとってはそんなの口実…ただ単に手塚と話がしたいだけ



「あ…それじゃあそろそろ部活の時間だからあたし行くね」


「ああ、あまり頑張り過ぎて倒れないように気をつけろよ」


「わかってるって」



そう言ってあたしは体育館に向った。



「黒沢」


そそくさと歩いていると、後ろから声をかけられた


「ん?あ、不二!」


「やぁ、これから部活かい?」


「うん、そうだよ、不二は部活早く行かなくて大丈夫?手塚に怒られちゃうよ〜」


あたしがそう冗談っぽく言うと不二は少し困ったように笑った。


「クスッ、まぁ僕もすぐに行くよ。それより手塚と井上って仲がいいよね、幼馴染みとかなの?」


「え?うん…まぁ一応」


「そうなんだ、でも最近の手塚って妙だよね」


「??…なんで?」


「なんかさ、こう…簡単に言うと、手塚…多分好きな人ができたんじゃないのかな」



「…え?好きな人?!」


ついびっくりして大声をあげてしまっていたのに気付き、慌てて口を塞いだ。



「…それって本当?」


「さぁ、あくまで予想だから」


「そ…そうなの、…ごめん、あたしそろそろ行かなきゃ」


動揺を隠し切れなくなりそうで、あたしは足速にその場を去った。


どうしよう…、ほんとなんだろうか…



もし、手塚が好きな人も手塚を好きだったら……


もうあんなふうに手塚と話せなくなっちゃうのかな…


一体誰なんだろ…



「…―長、部長?!」


気付いたら一人で考えを巡らされていて、バスケ部の後輩の声で我に返った



「え?あ、ごめん、なに?」


「トレーニング終わりました」


「あ…わかった、じゃあドリブルの練習しておいて」


「はい」


「ふぅ…」


あたしは何度目かわからない溜め息をついてまた考えこんだ…、


―…よし!こうなったら手塚に直接聞こう!


うじうじ悩んでも仕方ないと思い、あたしは部活の帰りに手塚に直接聞こうと決意した







部活も終わりあたしはすぐにテニスコートに向った。



「あ…!いたいた、手塚〜!」


「ん?黒沢、どうした、部活帰りか」


「うん、まぁ…そうだよ。それより手塚、ちょっと来て!」


「ん、あぁ別にいいがあまり引っ張るな」


そんな苦情は無視してあたしは手塚を校舎の裏に引っ張って行った。


「ここでいいかな…?」


「どいかしたのか?」


「あの…その…聞きたいことがあって…」



口ごもりつつそう告げると手塚は不思議そうな顔をしていた



「?なんだ?」


「あの…さ、やっぱり手塚って好きな人いるの?」


「どうしたんだ、急に」


「いいからさ、答えてよ」



そんなあたしの追求に手塚は少し困ったようにおずおずと答えた。



「あぁ、確かにいる」



「そっ…か…」



―…やっぱりいたんだ。


落胆がすごくあったけれど やっぱりこのままじゃ悔しかったから、ちゃんと自分
の思いを伝えることにした。



「あのね…、あたし…手塚のことが好きなんだ…手塚が他の子が好きなのに…なんかごめん…」


「…あのな、黒沢…」


「困らせてるのはわかってる…でも…好きな気持ちは本当だから…」


「俺の話も聞いてくれないか?」


「あ…ごめん」


つい自分の想いを伝えるのに必死で手塚の話を無視してしまった。


なんか今更になってすごく羞恥がこみあげてきた



「俺が好きなのは…おまえなんだ」



「へ?」


いきなりの訳分からない告白に拍子抜けた返事をしてしまった



「ほ…本気?!」


「こんなところで嘘をついてどうする」


「そ…そうだけど…」


「返事はどうだ」


「え…えっと…その…はい」


少しぎこちない返事をするあたしに手塚は小さな笑みを零した。


「あぁ、ありがとな優雨」

「え?!あ…うん」


初めて呼ばれる名前にあたしは少し気恥ずかしくなった。



ずっと前、あたしは手塚に名前で呼んでもいいのに、と言った事があって、手塚
はそれを拒んだことがあった…


あの時はそれが不思議でしょうがなかったが今ならそれがわかった…



きっと…この時の為に呼ぶ為だったんだね…


手塚らしいや…


「国光…大好きだよ」



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