[携帯モード] [URL送信]

アンジェリークNOVEL
罪なあなた(リュミリモ)
「リュミエール様!」
 公園でリュミエールの姿を見つけ、アンジェリークが駆けて来た。振り向く間もなく、彼女はリュミエールの背中にぎゅっとしがみ付いた。
「ア、アンジェリーク」
 声に動揺が現れたまま、リュミエールは戸惑って首を巡らした。
「なんですか?リュミエール様」
 ニコニコ笑いながらアンジェリークは背を伸ばしてリュミエールと目を合わせた。
 背中に…当たっているのですが。
「いえ、あの……」
 まあ、いいか。……いえいえ、わたくしとしたことが不埒な事ですね。
「これでは、歩けないので」
「あ。すみません、リュミエール様」
 アンジェリークは体を離し、リュミエールの横へ並んだ。
「いつもの木の下でハープを弾かれるんですか?」
「ああ、ええ。貴女がお望みなら」
 アンジェリークは彼を見上げてうれしそうに笑った。
「はい!」

 本当に、異性として見られていないのですね。わたくしは。
 ハープを弾くうち眠ってしまったアンジェリークを見て、リュミエールは溜め息をついた。そして肩にもたれていたのがずり落ちそうになったため、彼女の頭を自分の膝に載せた。
 多少の役得くらい、いただいてもよろしいでしょう?
 リュミエールはアンジェリークの柔らかな髪に指を滑らせた。もつれている髪を幾度か指で梳くと抵抗を感じなくなり、金の巻き毛の感触を楽しんだ。赤いリボンがほどけかかっているのを見て、リュミエールはそれの端を引いた。
 しゅるり。
「あ…ん」
 アンジェリークの口から艶がかった声が漏れ、リュミエールは固まった。
固まって、そして。

 リュミエールは身動きも出来ず、アンジェリークが目を覚ますまでの時間は、拷問のように長かった。

end



リモージュindex
NOVEL INDEXTOP




< 前 次 >

11/29ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!