アンジェリークNOVEL 罪なあなた(リュミリモ) 「リュミエール様!」 公園でリュミエールの姿を見つけ、アンジェリークが駆けて来た。振り向く間もなく、彼女はリュミエールの背中にぎゅっとしがみ付いた。 「ア、アンジェリーク」 声に動揺が現れたまま、リュミエールは戸惑って首を巡らした。 「なんですか?リュミエール様」 ニコニコ笑いながらアンジェリークは背を伸ばしてリュミエールと目を合わせた。 背中に…当たっているのですが。 「いえ、あの……」 まあ、いいか。……いえいえ、わたくしとしたことが不埒な事ですね。 「これでは、歩けないので」 「あ。すみません、リュミエール様」 アンジェリークは体を離し、リュミエールの横へ並んだ。 「いつもの木の下でハープを弾かれるんですか?」 「ああ、ええ。貴女がお望みなら」 アンジェリークは彼を見上げてうれしそうに笑った。 「はい!」 本当に、異性として見られていないのですね。わたくしは。 ハープを弾くうち眠ってしまったアンジェリークを見て、リュミエールは溜め息をついた。そして肩にもたれていたのがずり落ちそうになったため、彼女の頭を自分の膝に載せた。 多少の役得くらい、いただいてもよろしいでしょう? リュミエールはアンジェリークの柔らかな髪に指を滑らせた。もつれている髪を幾度か指で梳くと抵抗を感じなくなり、金の巻き毛の感触を楽しんだ。赤いリボンがほどけかかっているのを見て、リュミエールはそれの端を引いた。 しゅるり。 「あ…ん」 アンジェリークの口から艶がかった声が漏れ、リュミエールは固まった。 固まって、そして。 リュミエールは身動きも出来ず、アンジェリークが目を覚ますまでの時間は、拷問のように長かった。 end < 前 次 > |