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小説(ファンタジー)
4(END)
「―――つまり、何らかの精神異常でアシュレイは幼くなってしまって、それが原因でこのような不当な扱いをされていると」
「はい。その通りでございます。私がついていながら真に申し訳ありません」
「いや。元を辿れば、そのような男にアシュレイを嫁がせてしまった俺に責任がある。だが、このような状況を改めて知ってしまってはアシュレイをこのままにしておくことはできない。………離縁の話は俺の方で進めよう。アシュレイは屋敷に連れて帰る」
「はい。私もそれがいいと思います」
 話がまとまったところで身支度を整えたアシュレイがメイドに案内されてやってきた。
「アシュレイ、おいで」
 アシュレイが幼かった時のようにクロードが両手を広げる。
 待っていたといわんばかりにその腕に飛び込む。
「アシュレイ、今日から少し長い旅をしようか」
「旅ですか?」
「うん。1週間くらい馬車に揺られて家に帰ろう」
「うん!」
「これからはずーっと一緒にいような」
「本当に?!」
「あぁ、嬉しいか?」
「うん!」
「そうか、なら早速準備しよう。大切なものだけ持っておいで。馬車の前で待ってるから」
 クロードが告げると、アシュレイはケビンを連れてその場を去った。
 その1時間後、屋敷は主を失い静寂だけが満ちていた。そこにはもう明るい笑い声など響くことはない。
 残されたのは沢山の意味をなさない“石”たちと、鈍く光るプラチナの指輪だけだった。


END


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あきゅろす。
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