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小説(ファンタジー)
END
「…ユノ殿下、そろそろ仕事に戻られては如何でしょう」
「そう睨むなよ、ジーク。私は本当に嬉しいんだ。長年の友の初恋がやっと実を結んだんだからね」
「殿下!!」
 今度はジークフリート様の方が顔を赤められている。
「ノエル、知っているかい?この男は、5歳だったお前に一目惚れしたんだよ。しかも、それが初恋なんだ。ずっと、お前だけを想って来た男なんだよ。この男以上にお前に相応しい男はいないだろうな」
 からかうような言葉を並べてはいるが、兄様が本当に祝福してくれているのだと僕には分かった。
 きっとジークフリート様も気づいていることだろう。
「じゃあ、私は仕事に戻るとするよ」
「はい。お仕事頑張ってください」
 立ちあがった僕に兄様は一度だけ優しく頭を撫でてくれた。
「またいつでも遊びにおいで。ジークに不満があったら私に言うんだよ」
「はい。でも、大丈夫です」
 僕はそう兄様に答えた。
 兄様はただ「そう」と優しく微笑んだだけだった。
 兄様が先に去り、その場には僕とジークフリート様だけが残された。
「ジークフリート様、ひとつ、お聞きしてもよろしいですか?」
「なんでしょう」
「僕が初恋だというのは、本当ですか?」
「はい。私に向かって微笑んで下さるノエル様に私はその場で恋に落ちてしまいました。…こんな私の愛は重いですか?」
 僕は首を横に振った。
「いいえ。とても嬉しいです」
 そう告げた僕の唇にジークフリート様が口づけを落す。
「私のノエル。必ず幸せにします」
「違いますよ。ふたりで幸せになるんです」
 僕がそう告げると、ジークフリート様はまた唇を触れ合わせる。
 僕はそれに答えながら、そっと彼に抱きついた。
 この想いを諦めなくて良かったと心からそう思った。


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