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小説(ファンタジー)
7
 その日は、兄様に再びお茶に誘われ、花園でふたり向き合っていた。
「ノエル、ジークフリートの申し出を受けたんだってね」
「はい」
 兄様は笑顔で頷いた僕のことを優しく見つめている。
 あの後、僕はずっと不安だった兄様とのことをジークフリート様に尋ねた。
 疑いたくはなかったけれど、僕にはふたりが恋人同士にしか思えなかったから。
 僕が問いかけると、ジークフリート様は困惑気に、そして、少しだけ嫌そうな顔をされて否定の言葉を口にされました。
 僕は、その言葉に嘘偽りがないと分かったので、今までの自分の勘違いが少しだけ恥ずかしくて仕方ない位だった。
「お前の好きな相手と言うのもジークフリートのことだったんだね」
「…はい」
 兄様の優しい声と笑みに心配してくれていたことがわかる。
「ノエルが嫁いでしまったら寂しくなるな…」
「まだまだ先のことです」
「でも、ジークフリートは既にお前の着る婚礼衣装を作らせていると噂で聞いているよ。何でも鼻の下を伸ばしていたとか」
「殿下!」
 その時、入口から兄様を諌める声がした。
「無粋な男だな。今は兄弟水入らずのお茶の時間だよ」
「殿下が何やら私の悪口を吹きこんでいたようですので」
「悪口なんて人聞きの悪い。ただの世間話だろ、なあ?」
 僕に同意を求めないでください。
 僕はどうしようもなくて苦笑を浮かべる。
「ノエル様を困らせないでください」
 ジークフリート様が座っている僕を後ろから抱きしめる。
 不意なことで僕もびっくりしてしまった。
「ノエルの顔が夕日のようだ」
 兄様は楽しげに僕を見てくる。
「そ、そんなことありません!」
 僕は恥ずかしくて必死だ。


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あきゅろす。
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