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小説(ファンタジー)
6
「ノエル様…自惚れても、いいですか」
 その時、彼の声がすごく近くで聞こえた。
 僕が顔を上げると、彼の顔が僕の目の前にあった。
 離れようとする僕をジークフリート様が押しとどめる。
「お慕いしております、ノエル様。もし、嫌でしたら逃げて下さい」
 近づいてくるジークフリート様の顔を避けることも拒否することもできなかった。
「…んっ」
 唇が合わさる。
 軽く触れるだけで離れていくそれを少しだけ寂いしいとか思ってしまった。
「…ノエル様」
 再び流れてしまった涙を彼の唇が拭っていく。
「…夢じゃ…ないですか?」
「…夢だったら、良かったですか?」
 悲しそうな彼の顔に胸が痛む。
 僕は必死に首を横に振った。
「夢じゃ、嫌です」
「…夢じゃないです。私は、ずっと貴方を愛しています」
「僕も…ずっとお慕いしていました。初めて貴方とあった日からずっと。貴方に愛されたかった。傍にいたかった」
 ギュッと彼が僕を包み込んだ。
「…ジークフリート様、僕は、貴方と共にいてもいいのですか?」
 貴方は、兄様ではなく、本当に、僕を選んでくれますか?
「勿論です。…本当に、愛しています。これから先、何があったとしても貴方を愛し続けると誓います。だから、私と共にいて下さい」
「…はい」
 僕は大きく頷いた。
 これ以上の幸せを感じたことはない。
 抱きしめてくれる彼の背に、僕はそっと手をまわした………。


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あきゅろす。
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