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Dust box
ただ隣にいてほしい 7
Side王

 アイツの発見を早馬が知らせてから数日、アイツは再び城に帰ってきた。
 国に戻っていることは察しがついていた。だが、祖父母のところに身を寄せていることは予想外だったが。おかげで見つけるのに時間がかかってしまった。
「陛下、王妃様は自室に案内いたしました」
「分かった。当分の間自室での謹慎を命じる。侍女たちにも部屋の外には出さないよう良く言っておけ」
「かしこまりました。それと、王医が王妃様の問診をしたいと申しておりましたが」
「許す」
「かしこまりました。そのように伝えておきます。他にご用命はございますでしょうか」
「今はいい。下がれ」
「失礼いたします」
 誰も居なくなった執務室で再び提出された報告書に目を通す。
 アイツは、窮屈な王宮から解放されて、祖父母の元で何不自由なく、何にも縛られることなく過ごしていたようだ。
 気に入らない点があるとすればアレの存在だ。
 アイツが求めるから護衛として傍にいることを許した。だが、アレの存在は最初から気に食わなかった。だが、愚かではないと思っていた己が馬鹿だった。
 でも、それも終わりだ。
 アイツがアレに会うことはもう二度とない。
 さあ、アイツをどうしてやろうか。
 ただ閉じ込めるだけでは足りない。
 二度と逃げられないように何重にも縛り付けなければ。
 足に枷を嵌めようか。
 特注で作らせるのもいい。
 アイツはあまり光物を好まないが、どうせなら目で見て楽しめモノがいいだろう。
―トントン
 考えに耽っていると扉が叩かれた。
「入れ」
「失礼いたします」
 そこには、先ほど下がらせたばかりの侍従長と、その後ろにまだ若い兵士が立っていた。
「何用だ」
「申し訳ありません。こちらの者が直接陛下に申し上げたいことがあると」
 後ろの兵士に目を向けると顔色は悪く、今にも倒れそうだ。
「申せ」
「お、お人払いを願いたく存じます」
「そこにいる侍従長は我の信頼をおくものだ。申せ」
「………申し上げます。私の憶測ではありますが――――王妃様はおそらくご懐妊されていると思われます」
「……今、何と言った」
「王妃様がご懐妊されているかもしれないと、も、申し上げました」
「お前、何を根拠に!!!」
 侍従長が兵士に声を上げる。
「も、申し訳ございません。……城にお連れする際、王妃様は乗馬を拒否され、お腹をかばうような仕草を成されました。また、ゆったりとした服装ではありましたが、わずかですが、腹に膨らみがあったように思われます」
 兵士の言葉は、信じがたい。だが、ありえない話ではない。
 だが、いつ、アイツは子を為した。
 まさか………!!
「アイツの元へ行く!王医を呼べ!!」
「す、既に王妃様の元に………」
 俺は、怒りとも何とも言い切れない感情に支配された。



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