Dust box 貴方に少しの復讐を(浮気×平凡(性格悪?)) 「あぁ!!…か、い…!」 悲鳴のような少年の声。 「愛してるぜ」 囁かれる愛の言葉。 もう何度、これが繰り返されて来ただろう。数えることももう疲れてしまった。 ここは俺らの家で、彼は俺の恋人の筈だ。俺の勘違いでない限り。 彼の浮気が止んだことなんてないけどね。 だから決めた。今日だけは絶対に許してなんかやらない。それで別れるんなら潮時なんだ。 ―バンっ!! 勢いよくふたりがいる部屋に入る。 「…なんだよ」 不機嫌そうな声だけど気にしなーい。 「海、俺もう疲れちゃった。意味、わかるよね?」 笑いながら伝えると海は俺を見ながら固まった。そして、顔を蒼くしていく。 やっぱり分かったみたい。 「何度もやめてって言ったよね。それに、俺とはもうだいぶ御無沙汰だし、恋人でいるの嫌になっちゃった」 あくまで明るく、そして残酷に。 海の顔色はもう最低だ。 「てことで、別れてくれる?」 海は抱いていた相手を突き放して俺に抱きついてくる。 だが、そんな海に拒絶を示す。 「触らないで」 我ながら冷たい声だったと思う。 でも、笑顔だけは忘れない。 それでも、海は強い力で抱きしめてくる。 「別れないからな!そんなの許さない!!」 「でも、もう疲れたし〜」 「もう二度としない、約束する」 「前もそう言ってたしー」 「今度は絶対破らない!」 「本当?もう後はないよ?」 「絶対守る」 必死な姿にキュンと来る。 海がそう言うならいいかな。 次やったら黙って出て行こう。 「なら許す。絶対だよ?」 許しを口にすると海はキスの嵐を降らして来た。 あらあら、浮気相手が泣いちゃってるよ。 「雪、好きだ、愛してる」 海の告白を受けながら静かに微笑んだ。 「俺も」なんて返してはあげないけどね。 それも俺のちょっとした嫌がらせ。 END [*前へ][次へ#] [戻る] |