[通常モード] [URL送信]

Dust box
貴方に少しの復讐を(浮気×平凡(性格悪?))
「あぁ!!…か、い…!」
 悲鳴のような少年の声。
「愛してるぜ」 
 囁かれる愛の言葉。
 もう何度、これが繰り返されて来ただろう。数えることももう疲れてしまった。
 ここは俺らの家で、彼は俺の恋人の筈だ。俺の勘違いでない限り。
 彼の浮気が止んだことなんてないけどね。
 だから決めた。今日だけは絶対に許してなんかやらない。それで別れるんなら潮時なんだ。
―バンっ!!
 勢いよくふたりがいる部屋に入る。
「…なんだよ」
 不機嫌そうな声だけど気にしなーい。
「海、俺もう疲れちゃった。意味、わかるよね?」
 笑いながら伝えると海は俺を見ながら固まった。そして、顔を蒼くしていく。
 やっぱり分かったみたい。
「何度もやめてって言ったよね。それに、俺とはもうだいぶ御無沙汰だし、恋人でいるの嫌になっちゃった」
 あくまで明るく、そして残酷に。
 海の顔色はもう最低だ。
「てことで、別れてくれる?」
 海は抱いていた相手を突き放して俺に抱きついてくる。
 だが、そんな海に拒絶を示す。
「触らないで」
 我ながら冷たい声だったと思う。
 でも、笑顔だけは忘れない。
 それでも、海は強い力で抱きしめてくる。
「別れないからな!そんなの許さない!!」
「でも、もう疲れたし〜」
「もう二度としない、約束する」
「前もそう言ってたしー」
「今度は絶対破らない!」
「本当?もう後はないよ?」
「絶対守る」
 必死な姿にキュンと来る。
 海がそう言うならいいかな。
 次やったら黙って出て行こう。
「なら許す。絶対だよ?」
 許しを口にすると海はキスの嵐を降らして来た。
 あらあら、浮気相手が泣いちゃってるよ。
「雪、好きだ、愛してる」
 海の告白を受けながら静かに微笑んだ。
「俺も」なんて返してはあげないけどね。
 それも俺のちょっとした嫌がらせ。


END


[*前へ][次へ#]

2/36ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!