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Dust box
アンチ王道(暗い)
 もう、いいよね?
 屋上から見下ろす学園は放課後ということもありとても静かだ。
 俺の目の前にもちろんフェンスなんてものはなくて、むき出しのコンクリートの屋根に足を乗せているようなものだった。
 でも、そんな状況でも怖いとは感じなかった。
 ただ、やっと終われる。そうとしか思えなかった。
 それだけ、自分が疲れていたんだとこうなってよくわかった。
 五月の連休が終わった頃、時期外れの転入生がやって来た。
 彼は、ボサボサの頭に瓶底メガネ。いつの時代だってはなしだ。
 そんな彼は、見た目に反して煩い公害のような奴だった。
 でも、そんな奴に学園の人気者たちは心奪われた。
 そして、それから俺の地獄はやって来た。
 奴に親友認定された俺は、学園の人気者たちからいわれのない暴力を受けるようになった。
 現に、今、俺の体には、奴等から受けた傷や跡がある。
 痛みなんて、もうとっくに感じなくなっている。
 それ位、俺の心も体も限界になっていた。
 だから、全てを終わらせることにしたんだ。
 きっと、親は俺のことを怒るだろう。
 きっと、幼馴染は俺のことを馬鹿だって笑うだろう。
 でも、それでもいい。
 これ以上、ここには居たくないんだ。
 一歩、踏み出せば消えることができるんだ。
 ほら、こんなに簡単。
 体が宙に浮いた時、なんか懐かしい声が聞こえた気がした。



END


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