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Dust box
些細な誤解 大きな幸福(年上×年下)
どうも最近、恋人が浮気をしているみたいだ。
なぜみたいなのかと言うと、その現場を見たわけでも、キスマがあったわけでもないから。つまり、証拠なんてない。
じゃあ、なんで浮気したと思うかって?
それは、俺様・無精だった恋人が、急に優しくなったから。
よくゆうじゃん、浮気した後、男は優しくなるって。
1年付き合ってきたけど、恋人が毎日電話やメールをくれたことも、休日にデートに誘ってくれたこともなかった。
まぁ、恋人は社会人だし、仕方ないとも思ってたし。
なのに、最近は、必ずメールか電話をくれるし、休日だって僕から誘わなくてもデートに行ってくれる。
絶対に、怪しい。
友達にも相談したけど、友達は、今までの方が可笑しいとしか言ってくれなかった。
そこで、僕は考えたんだ!
そして、今まさに実行中。
それはなんと、恋人の尾行です。
今日は、何か用があるからって断られたんだよね。
浮気を期待する訳じゃないけど、もう、白黒はっきりつけたいんだよね。
勿論、浮気してないって方が断然嬉しいに決まってる。
で、恋人の後を追ったら、見事に見てしまいましたよ。知らない女性に駆け寄る恋人を…。
もう、これは確定だよね。
だって、あの俺様が駆け寄るんだよ、しかも、目茶苦茶いい笑顔で。
あぁ、なんでつけてきちゃったんだろ、僕。
なんか、目から汗が流れてきたよ………。
本当はさ、信じてたんだ。
俺様だし、無精のところはあるし、あんまり優しくなかったけど、浮気だけはしないって。
だけど、現実って、酷だなぁ。
いや、僕が馬鹿だったんだ。
こんなことしなければ、ずっと、知らずにいれたのに。
そうだ。見なかったことにしよう。
今日のことは全部忘れて、明日からはいつも通りで接しよう。
うん、それがいい。
なら、今日くらいは家で思いっきり家で泣こう。
そう思ってたのに………なんで、家に来るわけ?
どことなく空気も重い。
もしかして、別れ話?
いや、うん。
そうなることもないとは思ってなかったけど、なんで今日なんだよ。
別れたくないよ。
あー、また目から水が流れてきたー………。
「なんで、泣いてんだよ」
「……お、れと、わかれ、るん、だろ…」
「………はぁ?」
呆れたような恋人の顔。
「なんでんな話になるんだ、お前は」
「だって………ぎょう、女のひどと………」
「………はぁー…」
あ、また呆れた。
やだよ、これ以上嫌わないで。
「見てたのか?」
頷くとまたため息吐かれた。
なんだよ、早くしろよ。
「たっく、どんな勘違いしてんだよ」
「?」
「確かに今日、女とは会ったが、お前が考えてるような相手じゃねぇよ。あれは俺の姉貴。今日は偶々こっちに来てたから飯を食べに行ってただけだ」
「………でも、最近、変に優しかった………」
そう言ったら、なんか、言いにくそうに頭を掻いた。
これって、こいつの照れてるときとか恥ずかしいときの癖なんだよね。
「それは、同僚とかから、あんまり構わないと年下の恋人には直ぐに飽きられて振られるって言われたんだよ。若いときは、兎に角一緒にいられる相手に靡くからって…」
「僕、そんなこと気にしないよ?だって、仕事が忙しいのは知ってるし、元々、そんなに優しくないこと知ってて付き合ってるんだし。休みの日くらいはゆっくりして欲しいし」 うん。優しい方がいいけど、でもそれじゃあ、ちょと違う気がするしね。
「………はぁ〜。そういうことは早く言えよな」
「言わなくてもわかるでしょ」
「いつ振られるのか、結構気にしてたんだぞ」
「それはお互い様」
僕だって不安だったんだから。
「でも、そう言えば、じゃあなんで今日来たの?会えないって言ってたのに」
別れ話じゃなければ、何があったんだろ?
「あー…。これ、お前に渡しに来たんだ」
そういって差し出されたのは、掌くらいの袋。
開けて中を出したら、そこに入ってたのは 青色のピアスだった。
「今日偶々見つけて、お前に似合いそうだったから。次会うときでもと思ったんだが、今日会いたくなったんだ」
「つけてもいい?」
「あぁ」
僕は、今着けていたピアスを外して、それを着けた。
「やっぱり、お前には青が似合うな」
なんでそう嬉しいことばっかりするのさ。 ねぇ、気づいてた?
これ、初めてのプレゼントなんだよ。
「おい、なんで泣くんだよ」
困ったような声が聞こえるけど知らない。
だって、嬉しすぎる。
「…ありがとう」
やっとのこと出した声、聞こえたかな。
今度は僕が何かを贈るよ。
君に似合いそうな赤色の何かを。
それまで、少し待っててね。


END






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