企画・記念 9 「そんなことは許さない」 アルフォートはノエルの腕を掴んだ。 「いや!!」 ノエルはアルフォートの手から逃れようと暴れる。だがアルフォートはそれを許さない。 「何が不満なんだ」 アルフォートが問う。 ノエルはすでに泣き出している。 「…だって、僕…おかしいんだ。アルがかまってくれなくなってから、ずっと、モヤモヤして、クレノばっかりでイライラしたり…」 ノエルは泣きながら告げる。 アルフォートはそんなノエルをギュッと抱きしめた。 アルフォートは、そんなノエルが愛しくて仕方なかった。 アルフォートは、自分のその心にやっと気づいた。 「僕、きっと病気なんだ。だって、アルは『お父さん』なのに、そう思うと、余計に苦しくなるんだ」 ノエルはアルに抱きしめられながら泣きつつ言った。 「…ノエル、おかしくない。おかしくなんかないよ」 アルはノエルに囁きかける。 ノエルも黙ってそれを聞いている。 「ノエル、私と家族にならないか。本当の家族に、父や子ではなく、『夫婦』として」 ノエルははじかれたように顔を上げた。 「…夫婦?」 「そうだ。私の妻になってくれないか?」 ノエルの目に涙がたまる。 「…傍に、いれる?」 「ああ、ずっと一緒だ」 アルフォートは大きく頷いた。 ノエルは自らアルフォートにしがみつき、何度も首を縦に振った。 「帰ろうか、ノエル。私たちの家に」 「はい」 ノエルは返事をした。しかし、その瞬間、体から力が抜け、ブラックアウトした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |